バルトークの弦楽四重奏曲第1番をプロ・アルテ弦楽四重奏団の演奏で聞く
作曲者 : BARTÓK, Béla 1881-1945 ハンガリー→米
曲名  : 弦楽四重奏曲 第1番 Op.7 Sz.40 (1908-09)
演奏者 : プロ・アルテ弦楽四重奏団【アルフォンス・オンヌー(vn), ローラン・アルー(vn), ジェルマン・プレヴォー(va), ロベール・マース(vc)】
CD番号 : ANDANTE/AN2970



1934年10月31日, 11月2日ロンドン、アビー・ロード・スタジオにて録音されたもの。古めかしい音ではあるが、ANDANTEレーベルの復刻は大変聞きやすいもので、持続したノイズはあるけれど、それほど気にならない。
この時代に、バルトークの弦楽四重奏が録音されていたこと自体に驚きを禁じ得ないが、プロ・アルテ・かルテットはこうしたパイオニア的な成果を残したのである。
第1ヴァイオリンのアルフォンス・オンヌーが第二次世界大戦で戦死しなければ、というより、あの戦争が無ければ、もっと色々と有意義な仕事を残してくれたはずだと思うと、実に残念でならない。
第1楽章をこれほど緊張感をもって歌いきった演奏とはそうないだろう。新鮮で録音さえよければ充分に現代でも通用する水準である。このスタイルの新しさは特筆すべきものだ。
これを聞いてカペーやレナーなどの演奏を聞くと、古色蒼然たるものに聞こえてくる。これは録音ではなく、演奏スタイルの問題なのだが、プロ・アルテ弦楽四重奏団がいかに新しい演奏様式を自らのものとしていたか、というより、そうしたスタイルを先取りしていたかを知る手がかりがこの録音の中にあるように思う。
第1楽章のレントが、凄まじいまでの集中力と緊張感に支えられていささかの弛緩もなく、第2楽章へと移っていく(この曲は全曲がア・タッカで続いて演奏される)。第2楽章への移行部の完璧なテンポの配分と続く部分の安定したアンサンブルは、録音それた時代を鑑みればいかに大変なことかがわかる。ほぼ一発録音だったに違いないからだ。
次第にアチェレランドして第2楽章に入り、いくつかの部分が続いていくのだけれど、それぞれの性格を誇張したりせず、ありのままに表現してそれでいて鮮やかに音楽の性格が出ているのは、やはり技量が優れているだけではすまされないものがある。
最後の部分なんて、彼らの現代を先取りした音楽センスが、とても新鮮で、この四重奏団を聞いて古色蒼然などという的外れな評を信じてはならないと、つくづく思った。(録音が古いだけで、こういう言い方が結構あるようだ)

写真はシルトホルン山頂から見る、名峰ラウターブルンネン・ブライトホルン。
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by Schweizer_Musik | 2011-09-04 00:21 | CD試聴記
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