ベートーヴェンの交響曲第8番をクリュイタンスの指揮で聞く
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : 交響曲 第8番 ヘ長調 Op.93 (1811-12)
演奏者 : アンドレ・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : EMI/7243 4 83412 2 8



実は、金 聖響指揮オーケストラ・アンサンブル金沢のCDを聞いて、あまりに頭に来て、口直しにこの古い演奏を聞いた。
弦は1プルト?…そんな馬鹿な…。痩せた音に実体感のない浮ついたテンポ。あれがベートーヴェンだと言われると、もう私はベートーヴェンなんて聞かなくても良いと思う。
この作品にこめられたベートーヴェン一流のアイデア、リズムの面白さ、響きの面白さなど、こんなに無視されると、それをわざわざ買って聞いている自分まで馬鹿になってしまった気分である。
このクリュイタンスの古風で、ゆったりとしたテンポから繰り出される世界は、もっと豊穣であり、奥行きがある。
繰り返しの中で音の方向が目まぐるしく変化していく面白さは、このクリュイタンスの演奏にはあるが、金 聖響の指揮した録音には全く感じられなかった。残念なことだ。
彼の録音はいくつか聞いている。どれも満足できなかったが、このベートーヴェンは今までの決定打とも言える一枚であった。
彼のマーラーは良いと色々と聞かされるけれど、こんなベートーヴェンを演奏する人を私は信用できない。きっとマーラーは良いのだろうが、私は世のマーラー・ブームにのるほど暇でもないので、今だに聞く気にならずにいる。
クリュイタンスの古風な響きの奥ゆかしさはどうだろう!!メロディーに他の声部が絡んでいく時の面白さは、金 聖響の演奏には全く感じられず、彼に音楽があるとは思えなかった。試しにピリオド系の演奏でならしたジンマンとチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の演奏を聞いてもみたが、そちらの方が音がよく鳴っている。テンポはジンマンの方が速いが、オケは充分に響き、最低限の意味合いをもって音楽が流れていた。
私は別にジンマンの全集など好きではないけれど、金 聖響ほど嫌いでもない。でも古いこのクリュイタンスの録音のようにメロディーをカンタービレで演奏するという方が私はずっと曲にあっていると思うのだ。この曲はベートーヴェン一流のポリフォニーを使いまくった展開がある。対位法とはメロディーとメロディーの関わりに神髄があると思うから、そのメロディーを歌い上げること(別にオペラのようにではありませんよ!!)こそ、この曲の演奏の大切な部分ではないかと私は考えているのである。
クリュイタンスや古いシュミット=イッセルシュテットの演奏からはそれが聞かれる。ジンマンからも、その片鱗はまだ聞くことができる。しかし…。悲しいことだ。

写真は港から駅やって来たところ。右手の地下道を通って行くと、旧市街へ出られる。
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by Schweizer_Musik | 2011-09-19 11:37 | CD試聴記
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