パガニーニのカプリースをユリア・フィッシャーの演奏で聞く
作曲者 : PAGANINI, Niccolo 1782-1840 伊
曲名  : 24の奇想曲 Op.1 (1805)
演奏者 : ユリア・フィッシャー(vn)
CD番号 : DECCA/UCCD-1272



この才人が、妊娠で来日が中止になる前に録音していたもの。来ていたらぜひ聞きたかったのだけれど…。DVDではサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を弾いたものと、なんとグリーグのピアノ協奏曲を弾いたものがある。一晩のコンサートで、ヴァイオリンとピアノの協奏曲を演奏するという離れ業を演じ、両方とも素晴らしいパフォーマンスであったほどで、久しぶりに現れたドイツ系のヴァイオリニストでありピアニストというとてつもない才人。
PENTATONEレーベルのいくつかの録音とこのCDを持っているけれど、やはり豊かな才能に恵まれた演奏家であると私は思う。
そこでこのパガニーニのカプリースである。この曲を私はずいぶんたくさんCDを持っている。そのヴァイオリニストの素性を聞くのにこれほどわかりやすい曲はないからだし、やはりこの無伴奏の24の小品の驚くべき世界に魅了されているからでもある。
最近はもっぱらジュリアード系のよく鳴るカプリースばかり聞かされていたような気がするが、それらをたくさん聞かされた後にこれを聞くと清涼剤のような気がしてくる。そうだこの曲はこういう曲だったのだと…。
一聴して、はじめ少し線が細く、印象が薄かったのだけれど、2度、3度と聞き込む内に、この曲の世界に自然に入り込んで堪能している自分を発見というか、そんな気分になってしまった。いやはや素晴らしい才人だ。
ユニバーサル・レーベルに移って、ハーンのような売り方になっているけれど(ハーンが良い悪いの話ではない、単に売り方の問題)、多分フィッシャーの方がちょっと地味なので、あんなには売れないだろうと思う。でも心ある人は、彼女の奏でる世界がいかに作曲家の心に迫っているか知っているはずだ。
パガニーニのカプリースにまた一枚、愛聴盤が加わった。

写真はムーリの修道院付属教会。この教会には歴史的なオルガンが三台ある。規模のわりには多いし、その教会の装飾は半端なものではなく、地元では子供たちの遠足などでよくここに来ているそうで、知らない人はいないほど有名なものなのだが、日本のガイドブックでここの教会に言及したものを私はまだ見たことがない。
光量が足りず、感度を上げて撮ったので、ちょっと粒子が粗く見づらいとは思うが、もう6年あまり前の写真で、当時のコンパクトなデジカメではこのあたりが限界だった…。
それはともかく、1度は訪れてみられることをお薦めしたい。但し、ムーリの村にはこの教会以外には見るべきものは何もなく、その上、行きにくいのが難点である。チューリッヒに滞在していれば、乗り換えが面倒と言えば面倒だけれど1時間あまりで行ける。滞在のご予定のある方はどうぞ行ってみて下さい。(なんだか、押し売りのセールスマンになったみたい…爆)
パガニーニのカプリースをユリア・フィッシャーの演奏で聞く_c0042908_7121044.jpg

by Schweizer_Musik | 2011-09-25 07:12 | CD試聴記
<< 1曲終えた 今日はおしまい… >>