プロコフィエフのチェロ協奏曲をワレフスカの名演で聞く
作曲者 : PROKOFIEV, Sergei 1891-1953 露
曲名  : チェロ協奏曲 ホ短調 Op.58 (1933-38)
演奏者 : クリスティーヌ・ワレフスカ(vc), エリアフ・インバル指揮 モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : DECCA(TOWER RECORDS企画)/PROC-1092〜6



この曲は、実に不幸な生い立ちで、初演の評判が悪く、そのまま放置されていたのだという。そしてやがてムスティスラフ・ロストロポーヴィッチの提言により、全体を大きく改作して「交響協奏曲」として発表され、滅多に顧みられることがなくなってしまった。
交響協奏曲の方は、ロストロポーヴィッチの演奏をはじめ、数多くの録音があるけれど、この元になった方はヤーノシュ・シュタルケルがジェスキントと録音した古いEMI盤とこのワレフスカの録音しか私は聞いていない(シャンドスにもう一枚あるのだけれど、未聴のままである)。
ワレフスカは、昨年だったか来日して驚かされたけれど、(行けなかった…残念!!)この録音が再発される機運が高まってくれたのは幸運だった。
ワレフスカのデッカへの協奏曲録音がまとまって収められているこのCDは、ワレフスカというチェリストが、20世紀を代表するチェリストの一人であったことを証明することになるだろう。
いや、なかでもこのプロコフィエフには参った。シュタルケルの録音で聞いて以来、私は大仰な「交響協奏曲」よりもこちらの方がずっと好きなのだが、これが滅多に録音されないときているので、更に渇望感は強くなる。
ワレフスカは大変気持ちのこもった演奏であり、若きエリアフ・インバルは、実に丁寧にアンサンブルをまとめ上げていて、シュタルケル盤もよかったけれど、こちらもまた名盤だと思う。
急-緩-急という3楽章形式が多い中、この曲は緩-急-緩という楽章構成になっている。終楽章は変奏曲なので、一概にゆったりしているとも言えないのだが、下手な演奏でこれを聞くともうもっさりした音楽に聞こえてしまうことだろう。
初演の評判の悪さも、そのあたりにあるのではないだろうか?改作された方は、ゆったりと優雅であったものが、やたらと大仰で深刻ぶっているのが私は今ひとつ不満に思っている。
しかし、鉄人ではと思うほど、その音楽は力強く、勢いのある音楽であるのに、評判を気にするあまり、自作を改作してしまうとは、プロコフィエフも人の子だったのだなぁと、ちょっと親しみを感じたりもする…(笑)。
終楽章の変奏曲で、オケの管楽器などと絡むあたりはなかなか良い感じで、プロコフィエフってこんなに優しい良い音楽を書くんだってちょっと新しい発見があるかも…。聞いたことがない人にはお薦めのCDである。他の名曲たちも素晴らしい演奏、録音だ。どうしてデッカは今までこれをお蔵入りにしたままだったのだろう!!もったいないことをするもんだ。

写真はミューレンのちょっとした裏道。こんな道ならどこまでも歩いて行けそうな気がする。
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by Schweizer_Musik | 2011-09-25 22:25 | CD試聴記
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