作曲者 : SAMMARTINI, Giovanni Battista 1700-1775 伊
曲名 : パッサカリア (ナチェス編曲) 演奏者 : ミッシャ・エルマン(vn), ジョセフ・セイガー(pf) CD番号 : LONDON/KICC 88〜95 いつもの時間に起き出して、仕事を少しだけやるが、寒くてやる気になれず…。CDを聞いて時を過ごす。 ミッシャ・エルマンは1891年生まれの往年の名ヴァイオリニストだ。SP時代にはかなり活躍した人で、子供時代は神童と呼ばれていた。彼の独特のボウイングから生み出されるビロードのような美しい音は「エルマン・トーン」と呼ばれた。 そんな彼も、亡くなってすでに45年近く経つと、さすがに忘れられてしまうもののようである。ヴァンガードのステレオ録音がかなり残されていて、私が子供の頃、廉価盤でずいぶん出回っていたものだが、それがちょっと安物っぽいイメージをつけてしまい、忘却に拍車をかけてしまったのではないだろうか? この演奏は、LONDON・レーベルへの1954年頃から1956年にかけて録音されたモノラル盤で、ヴァンガードへのステレオ録音よりもまだ若々しく、往年の「エルマン・トーン」を彷彿とさせる。とはいえ60代半ばとなっていたエルマンに、テクニックの衰えが無いとは言えず、曲によっては古いSP盤の演奏とは別人の荒れた部分があったりする。 しかし、それでもやはり、弦楽器好きの私としては、かけがえのない1枚である。 ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニは、前古典派の作曲家で、膨大な作品を残している(はずだ)が、私はこの他にオーボエ協奏曲くらいしかしらない。この曲も、この演奏でしか知らず、原作がどんなものだったのかも分からないのだが、これはよく書けていて、なかなかに聞かせる。 エルマンはとてもよく歌うヴァイオリンで、聞きやすい。曲がちょっと甘美な感じがするのも、エルマンのわずかな弾き崩しと歌い上げによるものであろう。こうした情感豊かな音楽が、今の古楽器の隆盛の中で、清潔な歌い廻しに向かってしまい、絶滅しそうなのは残念に感じる。こうしたスタイルが古いことは認めざるを得ないが、みんなが同じスタイルになってしまうつまらなさを感じる今日この頃である。 あっ、外が明るくなってきた…。ようやく夜明けである。朝食を摂って、ストーブでも出そうかな? 写真は実家の地域のお墓にある柿の木。色づいて来ていて秋の深まりを感じさせたので…。今日のコンサート、ご先祖様も聞きに来ているのだろうか?…(笑)
by Schweizer_Musik
| 2011-11-13 07:00
| CD試聴記
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