シマノフスキの「仮面劇」をオールソンの演奏で聞く
c0042908_715677.jpg作曲者 : SZYMANOWSKI, Karol 1882-1937 ポーランド
曲名  : 仮面劇 "Masques" Op.34 (1915-16)
演奏者 : ギャリック・オールソン(pf)
CD番号 : WIGMORE HALL/WHLive0027



カロル・シマノフスキは初期にはショパンとスクリャービンの影響が濃厚な後期ロマン主義から出発した。この世代の作曲家たちは多かれ少なかれその洗礼を受けて育ったのだが、残っている作曲家たちはそこから自分の個性を発揮し、自分の語法を確立していった人たちに限られる。
シマノフスキはそうした一人だった。
54才でスイスのローザンヌで結核によって亡くなるが、18才の時に発表した9つの前奏曲から最後の作品となった2つのマズルカ(1933年)に至る33年のキャリアの中で2度ほど大きく作風を変えている。
第1期は、ショパンなどの影響下にまだあった後期ロマン主義的な作風であった。
第2期は1914年にイタリアからパリ、ロンドンなどを旅行し、ストラヴィンスキーやドビュッシー、ラヴェルなどと出会い、親交を結んでいる時期で、イスラムやオリエントへの指向が特徴である。
第3期はポーランドの民謡、特にタトラ地方の民謡を研究しそれへの傾倒が顕著となっている。

この作品は、第2期にあたり、次の3つの楽章からできている。

第1曲「シェエラザード "Shéhérazade"」
第2曲「道化のタントリス "Tantris le Bouffon"」
第3曲「ドン・ファンのセレナード "Sérénade de Don Juan」

音の扱いは、時代相応のもので、彼がポーランドの保守的な作曲家たちから排斥されたのも頷ける。と言っても、当時のものとしては前衛的なものと言っても、モードと高次倍音をブレンドして色彩的な音楽にしているというだけで、ドビュッシーなどを聞いている人なら普通に楽しめることだろう。
オリエント趣味は第1曲で濃厚であるが、旋法を多用したそのスタイルは、今日でも充分に新鮮である。
第3曲の「ドン・ファンのセレナード」ではドビュッシーの作品からのエコーをわずかに聞くことが出来るが、作品そのものはシマノフスキならではのもので、色彩に深い情感をたたえているあたりに魅せられる。
3曲で20分以上の大作で、なかなか演奏会で聞くことができないし、CDも多くはないが、このオールソンのライブ盤はこの作品の全ての録音の中でも最高のものと言える。

写真はアッペンツェル地方の典型的な田園風景。
c0042908_7331930.jpg

by Schweizer_Musik | 2011-11-22 07:33 | CD試聴記
<< リムスキー=コルサコフの五重奏... フォーレのピアノ四重奏曲第2番... >>