ボロディンの交響曲第2番をローゼンシュトックの指揮で聞く
ボロディンの交響曲第2番をローゼンシュトックの指揮で聞く_c0042908_10124462.jpg作曲者 : BORODIN, Alexander 1833-1887 露
曲名  : 交響曲 第2番 ロ短調 (1869-76)
演奏者 : ジョゼフ・ローゼンストック指揮 NHK交響楽団
CD番号 : KING/KKC2007〜8



NHK交響楽団の歴史で、多分最も重要な指揮者をあげるならこのローゼンシュトックではないだろうか?戦前のN響の前身である新交響楽団の指揮者として活躍し、斎藤メソードのモデルとなった人だ。
いくつか録音を聞いたことがあるが、どれもがモノラルで、1945年に拠点をアメリカに移してからの録音もいつくかある。がそのほとんどがモノラルだった。
今回のボロディンの交響曲はなんとステレオ録音。あわてて録音データを見てみると、1977年2月16日NHKホール録音とある。
1895年生まれのローゼンシュトックの晩年の録音である。いつものNHK交響楽団らしい、洗練されたボロディンで、泥臭い「爆演系」が好きな方にはちょっと肩すかしとなるかも知れない。
しかし、日本の音楽界にとって、大変な恩人の演奏なのである、そしてこの演奏にはその芸術の最後の輝きがあるように思われる。
テンポはいささかも弛緩することなく、指揮に応える楽員の指揮者への尊敬の思いが、その端々からも聞くことができる。よく集中した良い時のNHK交響楽団なのだ。
この演奏会は、NHK交響楽団の50周年コンサートであったそうだ。老齢をおして来日して指揮したのはそうした理由故であったのだろう。一糸乱れぬアンサンブルである。(無論ライブ故の傷は多少はあるけれど…)
故ローゼンシュトックの記録として、この演奏の価値は計り知れないものがあると思う。彼がいなければ、斎藤メソードはなく、そして小澤征爾も秋山和慶もいなかったかも知れないのである。日本のオーケストラ演奏の恩人の、おそらくは最後の頃の演奏を、多くの人に聞いて欲しいと思う次第である。

写真はメールスブルクのお城のカフェ。雨上がりで少し霞んでいるボーデン湖を眺めてのコーヒーは(不味かったけれど)良い気分だった(笑)。
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by Schweizer_Musik | 2011-12-19 10:34 | CD試聴記
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