ベルリオーズのレクイエムをビリーの指揮で聞く
c0042908_18492615.jpg作曲者 : BERLIOZ, Hector 1803-1869 仏
曲名  : 死者のための大ミサ曲 (レクイエム) Op.5 (H.75) (1837)
演奏者 : ベルトラン・ド・ビリー指揮 ウィーン放送交響楽団, ウィーン・ジングアカデミー(合唱指揮 : ハインツ・フェルレッシ), ウィーン国立歌劇場合唱団(合唱指揮 : ノルベルト・バラチュ), ジュゼッペ・サッバティーニ(ten)
CD番号 : OEHMS BVCO-37419-20



この誇大妄想の作曲家は、それほど新しい和声などには興味がなかったようだが、新しいオーケストラの世界を作り出したことは確かである。
ベートーヴェンが亡くなって11年、シューベルトが亡くなって10年にして、このスコアを書き上げたことにただただ驚きを禁じ得ない。ブラームスなんてまだ五歳の子供だった頃にこれが書かれたのである。ただただ奇跡のようなものだ。
但し、私がこの曲を好んでいるかどうかというと話は別だけれど、やはり敬意をはらうに吝かではない。
ビリーのこの演奏は、なかなかの好演だ。ずいぶん前にも聞いたのだけれど、その時は安物のスピーカーで全く真価を理解していなかった。今日はちょっと良いヘッドフォンを使って、大きめの音で聞いてみた。
圧倒的だった…。この音楽を聞いて、魂が安らぐかどうかは全く保証の限りではないが、少なくとも興奮はさせられる。この大変な規模のレクイエムは、ヴェルディのあの劇的なレクイエムよりも36年の前に出来た曲だということを忘れてはならない。
4組のバンダを使うという破天荒は、初演の教会の四方から音が降ってくるようにという意図からであったというが、こうした音場を想定したオーケストレーションが19世紀の半ばにすでに考えられていたとは、彼の先進性は全く…。
無論、オーケストラはそれ自体が両翼配置で演奏されていて、ステレオ効果をあげるように古典の時代から書かれていたのだから、珍しいことではないが、この規模で想定されたものは、前代未聞のことで、当時聞いた人たちはさぞ驚いたことであろう。
20世紀、それも第二次大戦前後からはこうしたことは一般的になりつつあったし、金管バンドなどでは試みられていたことであるが…。
この録音は、とても良いと思う。重低音もしっかりと聞こえてくるし、このバランスの良さはやはり特筆すべきだろう。ビリーの指揮も、特にどこかを無理に強調したりして個性を出そうなどというのではなく、音楽を自然体で演奏(したから凄い迫力になった…)しただけで、この破天荒なスコアに対する敬意に溢れていると思った。
テノールのソロはやや物足りないところもあるが、合唱はオケともども大変よくやっている。これはベルリオーズのレクイエムの名演の1つだと思う。
最近、ユージン・オーマンディの録音など、色々と聞いてきたのでけれど、これは本当に良かった。

写真はエンゲルベルクの修道院付属教会。
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by Schweizer_Musik | 2011-12-23 19:15 | CD試聴記
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