作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名 : 弦楽四重奏曲 第2番 ト長調 Op.18-2 (1799-1800) 演奏者 : エンデリオン四重奏団【アンドリュー・ワトキンソン(vn), ラルフ・デ・スーザ(vn), ガルフィールド・ジャクソン(va), デイヴィッド・ウォーターマン(vc)】 CD番号 : WP/2564694713 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番は今更私が書くこともないことだが、優雅な物腰の中に、ベートーヴェンらしい芯の強さを秘めた、なかなかの名作である。 今年最初にとりあげる曲としては相応しい作品であると思う。 何しろベートーヴェンの作品なのだ。下手なことを書いているはずがないのだけれど、この曲を含めてこの初期の6曲のセットはとても完成度が高いだけでなく、創意に溢れている。 特徴的な第1楽章の主題はいくつもの性格の異なる素材をくっつけたもので、なかなかに興味深い上に、その展開は念の入ったもので、様々な姿へと変化、発展を遂げる。大体4分音符から32分音符までの幅広い音価を1つのメロディーの中にまとめ上げるなどという離れ業は、当時としては大変な冒険であったことだろう。 交響曲第8番の第1楽章のの終わり方を先取りしたかのような、意表をついた終止など言うに及ばず、この作品の面白さは聞き込めば聞き込むほどに魅力が広がっていく。 しみじみとしたメロディーが印象的な第2楽章は、意外なほど単純な和声で書かれていて、そうすることをコンセプトとして書いているかのようでもある。で、中間をどうするかと思えばAllegroで第3楽章のような役割をここに置くなどという実験をここでやるのだ。 全く、ベートーヴェンは同じような曲を1つとして書かなかった…。ああ自分はそれに比べてどうだろうと思うと、恥ずかしいばかりである。まっ、ベートーヴェンと比べること自体が無茶なのだけれど…。 第3楽章はスケルツォ。このセットは第3番が最初に書かれ、次いでこの第2番が完成したと言う。第1番の第3楽章にもスケルツォが置かれているが、この曲でベートーヴェンは弦楽四重奏曲でもスケルツォをはじめて書いたことになる。(器楽の楽章ものとしてはピアノ・ソナタ第2番が最初だったと思う…。そしてそのスケルツォがちょっとこの曲に似た主題というか動機で書かれていることも付記しておこう)、トリオの優雅な佇まいなど、なかなか心地よい音楽でもある。 終楽章の主題は、問いと答えのような形で、第1楽章との類似性と主題の構造の類似性が顕著で、全体のまとまりを意識したもので、いかにもベートーヴェンらしい。 エンデリオン四重奏団の演奏は荒々しくは決してならず、実に優雅に、美しい音、美しいアンサンブルでこの作品の真価をよく伝えている。こうした優れた演奏でこの曲に出会える人たちは幸せである。まだお聞きになっておられない方にはお薦めのセットである。 写真は郷里の八幡神社。先日帰った折、散歩で立ち寄った時に撮影した一枚。この小さなな広場でよく遊んだものだ…。
by Schweizer_Musik
| 2012-01-09 08:19
| CD試聴記
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