モーツァルトのピアノ・ソナタ第4番をヘブラーの新盤で聞く
モーツァルトのピアノ・ソナタ第4番をヘブラーの新盤で聞く_c0042908_851125.jpg作曲者 : MOZART, Wolfgang Amadeus 1756-1791 オーストリア
曲名  : ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 K.282 (189g) (1775)
演奏者 : イングリット・ヘブラー(pf)
CD番号 : DENON/COCQ-83689〜93



第1楽章がAdagioで、第2楽章がメヌエット、終楽章がソナタ形式で書かれていてベートーヴェンの「月光ソナタ」と同じ構成で書かれている。
ベートーヴェンの曲の先がけとしてこの曲はもっと注目されて良いと思う。またゆっくりから次第に速い楽章へと移っていくのはクライマックスを持って行きやすい。急 - 緩 - 急の構成はそれぞれの性格を際立たせる効果を期待しているのだけれど、これは全体でのクライマックスを最後におく意志が明確である。
ザルツブルク・シンフォニーと呼ばれることもある3曲の弦楽ディヴェルティメントの2番目、変ロ長調 K.137も第1楽章にゆったりとした楽章を置いていた。ただ第2楽章と第3楽章が速い楽章でメヌエットはなく、クライマックスを意識したものというより、ちょっと変わった構成というに過ぎないけれど…。
1775年にミュンヘンで書かれた所謂「デュルニッツ・ソナタ」の中でも特異な存在で、第1楽章の深々とした味わいは、これがわずか19才の青年の手になるものとは、とても信じられない。
イングリット・ヘブラーの演奏は、古いフィリップス盤を持っていて、それがあまり好きでなかったこともあり、この新盤は長らく手が出なかったのだけれど、いつもダウンロードしているclassicjapanに全曲がアップされていたので、ようやく聞いてみる気になって、今朝聞いてみた。
旧盤もこの曲に関しては美しい演奏だったけれど、終楽章などもっと天真爛漫で良いのではと思うほど神経質にデリケートであるような気がして、曲の表現が今ひとつせせこましく感じる。新盤でも解釈に変わりはないけれど、旧盤のような神経質なまでの丁寧さが無くなり、より伸びやかで心地よい。この曲の演奏としてこれが1番という気はないけれど、好演であることには違いなく、今朝聞いて大変気持ちが良い。

写真は我が家の前の柿の木。子供の頃はそう果物が無かったので、この柿など一生懸命取って食べていた。冬になってこんなに残っていることなど、決して無かったのだけれど、今は取る人もいないらしく、雪の積もるこの季節になってもこんな木にぶら下がっていた。
それにしても良い枝振りでしょ?(笑)
モーツァルトのピアノ・ソナタ第4番をヘブラーの新盤で聞く_c0042908_918310.jpg

by Schweizer_Musik | 2012-01-10 09:18 | CD試聴記
<< バッハのブランデンブルク協奏曲... 今日は… >>