アイスラーの九重奏曲 第1番を聞く
アイスラーの九重奏曲 第1番を聞く_c0042908_2219134.jpg作曲者 : EISLER, Hanns 1898-1962 独
曲名  : 九重奏曲 第1番「変奏曲 "variations"」(1939)
演奏者 : クリストフ・ケーラー指揮 アンナ=カテリーナ・グラーフ(fl), ロルフ・グミュラー(cl), ダヴィッド・シュネーベリ(fg), ダヴィッド・ジョンソン(hr), ウルス・ウォルカー(vn), レギーナ・レイチェル(vn), バーバラ・スーテル(va), レグーラ・ヘウスラー(vc), ワルター・ウェールリ(cb)
CD番号 : ACCORD/220582



この曲をコンサートの最後にもって来ようと思っている。1939年。私は映像や本でしか知らないが、忌まわしい戦争が始まった年である。
何月頃に書かれたのだろう?無学なもので、そうしたことはよく知らないけれど、不思議な静寂の中から不安そうな、焦燥感にかられたようなモチーフが明滅しつつ曲がはじまる。
主題は、平明なようでどこか皮肉めいていて、当時アメリカに亡命せざるを得なかったことと、つい結びつけて聞いてしまう。
東西冷戦が激しさを増す中、東ドイツに戻って要職についたことが災いして、彼はあまりに過小評価されていると私は思うがどうだろう。
この曲の独特の孤独感は、明らかに時代の空気を映しているように思う。そして空威張りのマーチが流れ、壮大さを敢えて誇張した終止のあとに、不安と孤独にさいなまれるという具合である。
1930年のノーテンキさから、この暗さへとたどり着く10年が、この冬のコンサートのテーマとなる。ちょっと自分としては良い企画だと、勝手に自画自賛しているところである。まだその前のコンサートの準備も終わっていないというのに、こんなことをしていて良いのだろうかと、つい不安になるけれど、考えがまとまり、こうして改めて聞くと、この小さな、そして意味ありげな小品が、いかにも相応しく聞こえてくる。
スイスの演奏家たちのアンサンブルの丁寧な仕上がりは、私たちの目標となろう。楽譜が届き次第、これも皆に配らなくては…。
とても充実した一日となった。編曲は昨日からお休みである。明日はそちらにかからなくては!

写真は何度もここに出している八幡神社。私の心の拠り所と言っても良い大切な場所である。今年は父や母とともにここに初詣に行った。良いお正月となった。
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by Schweizer_Musik | 2012-01-15 22:46 | CD試聴記
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