シュトラウスの二重協奏曲を聞く
シュトラウスの二重協奏曲を聞く_c0042908_2040976.jpg作曲者 : STRAUSS, Richard 1864-1949 独
曲名  : 二重協奏曲 (ハープをもつ弦楽オーケストラとクラリネットとバスーンのための) Av.147 (1947)
演奏者 : ディミトリ・アシュケナージ(cl), キム・ウォーカー(fg), ウラディーミル・アシュケナージ指揮 ベルリン放送交響楽団
CD番号 : DECCA/POCL-1317



1947年にスイスのルガーノにあるイタリア語放送局の委嘱により、作曲された、リヒャルト・シュトラウス晩年の傑作である。
戦後のリヒャルト・シュトラウスは、かつてもような脂ぎったしつこさは影を潜め、余計なもの一切をそぎ落とし、ただただ穏やかな老年のそれでも瑞々しい感性を残した見事な作品を書き残した。
オーボエ協奏曲、このドッペル協奏曲、そして最後の四つの歌は、彼の最後の見事な輝きである。残照の美しさとでも言うのだろうか?
一昨年、芸大フィルハーモニアでこの曲を聞いたけれど、あれも美しかったが、さすがにこの録音は見事である。
1969年生まれで、スイスのルツェルン音楽院を卒業したというディミトリ・アシュケナージ(ウラディーミル・アシュケナージの次男)は美しい音で演奏している。もっと積極的でも良かったかも…。少し小さくまとまった感じが残る。
女流バスーン奏者のキム・ウォーカーは大変達者だが、音色の魅力が後一歩で、細かなところでわずかに不満が残る。
アシュケナージの指揮するオーケストラは大変立派で、弦のソロも美しい。
この曲は一種の合奏協奏曲であり、モーツァルトあたりを理想とする新古典主義的作品であり、もっと聞かれるべきリヒャルト・シュトラウスの傑作だと思う。英雄の生涯やツァラトゥストラあたりを一回削って、これやオーボエ協奏曲をやってくれれば…。なかなかそうはいかないのはどうしてかなぁ…。

写真はラインフェルデンの教会。冬枯れの立木が良い味を出していて、結構お気に入りの一枚…。今頃はずいぶん寒く雪も少しは積もっているのではと思うけれど、この時は3月半ばで、暖かく、公園でのんびりする人もいた。
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by Schweizer_Musik | 2012-01-31 21:03 | CD試聴記
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