私の教え子が持っていたものを借りて聞いた一枚。スイスのラ・ショー・ド・フォンのムジカ・テアトルで録音されたものである。
リゲティがどれほどのピアノの腕を持っているのか、そしてこのピアノ作品がピアニストにとってどういう位置づけの作品なのかはわからぬまでも、この作品の面白さはもう最高だ。実は私は何枚かこの曲のCDは聞いている。自動ピアノでの演奏もあるし、何人かのピアニストがCDとして出しているからだが、このピエール=ローラン・エマールの演奏はそれらを全て捨て去っても惜しくはないほどだ。 全三巻にわたるが、第3巻はまだ一曲しか完成していないという。それでも十分だ。こんなに刺激的で面白い音楽があるだろうか。全くの無調ではなく、適度な調的な響きが、この作品を親しみを感じさせる原因ともなっているが、全音階的なサウンドは多くの人の共感を得ることだろう。 それに小気味よいほどの難技巧が網羅されているこのエチュードはどの部分を聞いても刺激に満ち、聞く者の想像力、インスピレーションを刺激し続けるのだ。 各曲には「無秩序」「妨げられた打鍵」「悲しい鳩」などといったタイトルがつけられ、どことなくドビュッシーのエチュードにも似た充実感をもたらしている。 エマールはそうしたタイトルに合った表現を心がけるというよりも、純音楽的な解釈で聞かせる。作曲者のアニバーサリーとして企画されたものながら、これほどのまでの名演が含まれているとは!! 未聴の方でピアノが好きな方にはぜひ!お薦めしたい。 リゲティ_ピアノのための作品集/SONY Classical/SRCR 2130
by Schweizer_Musik
| 2005-05-27 23:51
| CD試聴記
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