ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第13番をブッフビンダーの演奏で聞く
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調 Op.27-1 (1800-01)
演奏者 : ルドルフ・ブッフビンダー(pf)
CD番号 : SONY(RCA)/88697875102

もういい加減にしないといけないなと思いつつも、ベートーヴェンのCDはいつの間にか集めてしまっています。特に交響曲とソナタ、弦楽四重奏の全集となるとつい…。おかげで絶対に聞き通せない量が手元にありながら、好きな曲をつまみ食いのように聞いて終わるバターンが続く始末です。

ところで、このブッフビンダーはおそらく初来日だったと思いますが、大阪で高校生の頃だったか、聞いています。確かベートーヴェンの皇帝を弾いたと思いますが、結構良い演奏で、満足して帰った記憶があります。
ただ、少し音が窮屈というか、響きが硬く、音そのものに魅力がないというか、そんな感じを持ちました。
それはその後、15年ほどして、彼の録音をCDで聞いた時にも同じ印象を持ちました。
テルデックに録音したソナタの全集はすでに手元を離れていて聞けませんが、変奏曲はまだ持っています。そしてこの何十年ぶりかの二度目の全集ですが、これはとても安かったので、つい買ってしまいました。で、さすがに若い頃の録音(と言ってもかすかな記憶でしかありませんが…まだ当時は何度も聞く習慣が残っていましたので)よりも、多少アゴーギクの変化がもたらされ、ライブ録音らしい生き生きとした表現が心地よい出来となっています。
この13番のソナタにしても、やはりよく歌う、良い演奏です。よく考えられた表現は、微塵の迷いもなく、ベートーヴェンの楽譜を確信に満ちた表現で弾ききっており、これがわずか4000円あまりで手に入れられたことは幸運だったと思います。
この中期のソナタ(と言ってもソナタ形式の楽章が1つもない極めて独創的なソナタ)が過不足のない演奏で聞けることは、はじめてこの曲を聞く人にとって良いものだと思う。
しかし、ダニエル・バレンボイムの録音(Grammophon盤、あるいはDECCA盤)、フリードリヒ・グルダの録音などと比べると冒頭からこの音楽へのときめきのようなものはこれまた微塵もなく、いかにも直球勝負で聞かせるのです。これが好きという人もいるでしょう。決して悪いものではありません。無骨というのでもなく、ただ直球で聞かせられるので納得するしかない、そんなねじせられているような演奏と申しましょうか…(笑)。
これを聞いて、フリードリヒ・グルダの1957年のMONO録音の全集(DECCA/4756835)からこの曲を聞いてみましたが、陶然とする表現に、やはりこれでないと…なんて思った次第です。
ベートーヴェンに限らず、名作というのは様々な表現、解釈が可能ですし、それぞれにイマジネーションを刺激します。そしてその演奏家の器というか、演奏家の持つ音楽性を浮き彫りにしてしまうようなところがあります。
すごいものですねぇ…。
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by schweizer_musik | 2014-09-28 00:47 | CD試聴記
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