ブラームスの「運命の歌」について
ブラームスの「運命の歌」についてYURIKAMOMEさんが書かれていて、この名曲について私も今まで書かずに来たことを思い出し、ちょっと思っていることを書いてみることにした。
冒頭の部分で、低音で執拗に繰り返される同音の反復は、まるでベートーヴェンの「運命」の三楽章から終楽章にかけての移行部を思い出させる。
「至福の聖霊たちよ、お前たちはやわらかな地の上を」と歌いはじめると、このバスは消え去り、コンバスのピツィカートと木管が合唱を支える。この部分の美しさはブラームスが書いたスコアの中でも最高のページではないかと思う。ゆったりと歌うワルターのステレオ盤で聞くこの曲の美しさ。私はひたすらこの演奏のみを聞いてきている。
半分くらい過ぎて「眠れる幼児のように天上のものたちは」と合唱が歌い始めるところから音楽は一転、不安げに揺れ動き始める。分散和音が弦に出て来るのだが、私にはこれまたベートーヴェンの第五番の交響曲のオマージュに思える。もちろん全てブラームスの音楽になっているのだが。
「だがわれわれには、憩うべきところがない」と歌った合唱に続く最後の部分は、実に美しいハーモニーであるが、ブラームス自身の第1交響曲のように、ティンパニーの持続音が響きわたり、不安と引き裂かれるような悲劇性を暗示しているように思われる。
最近、プラッソンが指揮したブラームスの合唱音楽集を買い、この曲も聞いたが、合唱がベルリン・エルネスト・ゼンフ合唱団でとても良く、意外にも大変な名演。実は全く期待しないで、ただただ安さにつられて買ったに過ぎないが、プラッソンがこれほどまで良いブラームスをやるとは!ワルターと並んで推薦。YURIKAMOMEさんが書いておられるベルナルト・ハイティンクの演奏は聞いていない。これは良さそうだ。プラッソンでようやくワルター一辺倒から抜け出せたので、そろそろハイティンクもチャレンジしてみようかと思う。
ブラームス作曲、「運命の歌」
by Schweizer_Musik | 2005-09-18 20:34 | CD試聴記
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