1926年の春に作曲されたシンフォニエッタは、伝統的な構成の楽章を一つも持たない、極めて斬新な作品でもある。その上、第1楽章が14人の金管奏者とティンパニーのための野外コンサートを想定して作られていると来ている。細かく言えばトランペットが各3人ずつ計9人。そしてテノール・チューバ(ロータリー式のユーフォニアムと言えばいいのだろうか?)が2人、そしてバス・トランペットが2人。それにティンパニーが一人というのだ。
これはバンダ。実演で聞くと、オーケストラと別に13人の金管奏者が座っていて、第1楽章はこの人達だけが演奏するのだ。そして第2楽章、第3楽章、第4楽章とひたすら休み。そして最後の楽章で再び同じ音楽が戻って来て登場するという具合。 オーケストラの事務局からこの曲をやりたいというと、絶対に嫌な顔されそう。エキストラを大量に雇わなくてはならず、それもたった二つの楽章だけのためで、他の楽章は休んでいるのに、ギャラは一日分・・・。 第1楽章のバンダの音楽のテーマは次のようなものだ。 良く見ると、ティンパニになんとスラーが・・・。レガートで叩けとはグレイトな要求だ。大阪のどこかのオケでこれを書いたら、きっとティンパニ奏者から言われるだろう。「一度やってみせて」って・・・。 これが次第に発展していく。 第2楽章 何気ない導入。細かな、佐川吉男氏の表現を借りるならば「打ち震えるような」フレーズ。これが成長・発展していく。その過程で色々なエピソードが挟まれるが、ヤナーチェク独特の構成! 次に私の考える第1主題をあげておく。拍子が2/4になって(拍の取り方が違うので、随分軽快な感じになる)オーボエによって民族舞曲のような軽快なテーマが提示される。 またミュートされたトロンボーンの伴奏がユニークである。 この後、最初のフレーズが再び出てきて、木管楽器がこれに美しく絡んでいくが、これが第2主題と考えるのは間違いだろうか? 続いて、「打ち震えるような」フレーズが途切れ途切れに響く中、舞曲調のフレーズが現れるが、これは冒頭のオーボエのフレーズのリズムを使って作られたものであるが、3小節フレーズになっていて、独特の民族舞曲調となっている。 ここから音楽は展開部に入っていく。スコア上ではほとんど変わらないが、テンポの変化、表情がめまぐるしく変化していく。 舞曲調という表現は、同じフレーズを二度ずつ繰り返し、それが次第に増殖かるかのように発展していくところに特徴を認めるからである。 続くフレーズで前に出てきたフレーズをリズム的に発展させた新しい、そして重要なフレーズがヴァイオリンに出て来るが、この動機が展開部で提示された後、ホルンにこれまたさりげなく新しい動機が出て来る。 また、上の楽譜の最後のトロンボーンのフレーズ。唐突かも知れないが、ドビュッシーの交響詩「海」の第1楽章のクライマックスで出て来るトロンボーンのフレーズに似ていると思うのは、他人のそら似? 一応、第1楽章のトランペット隊はバンダでオケと別に考えられているのだが、このクライマックスで出て来るトランペットのアンサンブルは、今日スカパー!で見たペシュコー指揮の映像では参加していた。全部休んでいるのではなさそうだ・・・。 この後、第1主題と、打ち震えるようなフレーズがハーブに出て来る。 そして第1主題が再現されて曲を閉じる。 第3楽章以下も大変面白いので、また今度やります。こうした多楽章の作品を全部やろうと思うと長くなりすぎてしまうので・・・
by Schweizer_Musik
| 2005-10-18 22:45
| 授業のための覚え書き
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