昨日の夜、ヴィンタートゥーアのオスカー・ラインハルトのレーマーホルツ美術館が世界美術館紀行(NHK教育)でとりあげられた。前にバーゼル美術館が取り上げられて、私は絶賛を捧げた。今回もラインハルトの生涯と彼の美術への情熱に焦点をあてた、極めて深い内容で興味深く見た。
今年の春、ヴィンタートゥーアに出かけた。二度ほどヴィンタートゥーアに出かけ、一度はN島君と、一度は一人で駅に降り立った。 実は、何度か行っているのだが、今年の訪問が一番ヴィンタートゥーアでの滞在時間が長かったのだ。 懐かしい風景と共に、ああ、もう少し時間があれば絶対行ったのだがと、後悔ばかりしていた。あの美術館の所蔵品は美術館から出たことがないのだ。それはオスカー・ラインハルトがヴィンタートゥーアから動かさないことを条件に市に寄贈したことによる。だからあそこに行かないと出会えない作品ばかりだということになる。 やっぱり行っておくべきだった。この番組を見て、つくづくそう思わされた。オスカー・ラインハルト美術館も追記のような形で触れられていたが、その隣を私は歩いていたのに・・・。 美術館巡りのバス観光のコースも確かあったはずで、レーマーホルツは市内から歩いていくにはちょっと無理。しかし、時間をかけても行く価値は高い。 ラインハルトの兄弟でヴェルナー・ラインハルトは音楽の世界では有名なパトロンだった。ウェーベルンの管弦楽のための変奏曲は彼が援助してヴィンタートゥーアで初演された。当時、オーストリアの中ではウェーベルンは作曲家としての地位もなにもなかった。スイスのパウル・ザッヒャーに援助を申し出ていたのだが、パウル・ザッヒャーはドデカフォニーに全く興味がなくこれを拒否。後にブーレーズなどの影響で立場を変えたのだが、その頃にはウェーベルンはすでにアメリカ兵に射殺されて帰らぬ人となっていた。ちなみにこのアメリカ兵は何のおとがめも無かった。外に出て煙草を吸うためにつけた火を狙って撃ったらしいのだが、どう考えても過剰な判断だった。その一発が、音楽の至宝を奪った。戦争とはそんなものなのだ。 ラインハルトについては今書いている本の中で触れてみた。音楽界で彼はあまりに無視され過ぎている感じがする。パウル・ザッヒャーと同じように扱われてしかるべきだと思うのだが・・・。こちらはウェルナー・ラインハルトの方。 芸術の町、ヴィンタートゥーアにTV番組に、懐かしさと強い憧れを感じさせられた25分だった。この充実感はバラエティー番組からは得られない。
by Schweizer_Musik
| 2005-11-05 08:23
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