カンサス州で、進化論に疑い
アメリカのカンサス州で、進化論に疑いがあるということを、公教育で実施することになるそうだ。曰く「宇宙は複雑であり、より高度な力が加えられて創造された」とするもので、神が創造したものということを公教育で行う余地を作り出すことになり、宗教右派が大喜びしているらしい。
一時は、世界中の嘲笑の的となり、頓挫したはずなのだが、再びどこからか出てきて民主主義でこれが入り込んだようだ。

個人の信仰の問題は、誰にも犯されてはならない。科学と宗教を混同してはいけない。神が存在するかどうかを民主主義で決めるのは更にばかげている。そんなことをすれば人類は遙か昔に滅びることとなっていただろう。
多数決が科学を決めるとしたら、それは科学ではない。科学は真実によってのみ決定するのだ。アメリカにはまだ世界は平面であると信じている大地平面協会があるそうだ。いやはや・・・。
世界一知識・文化の遅れた国、アメリカ・カンサス州ということで、これから有名になることだろう。ああこういうレベルなのですね・・・。

久しぶりにアメリカさんに笑わせて頂きました。がんばれカンサス州。もっと物笑いの種を供給してほしいものだ。
ニュース・ソースには「ID(インテリジェント・デザイン)の考え方を教える機会を増やすよう求める圧力が強まるのを懸念する教育関係者もいる。」とまじめにコメントしているが、こんなにまじめにコメントするような話ではない。

私は宗教は心のあり方だと思っている。また私は無神論者ではないが、宗教を深く理解しているわけでもない。(どちらの神を拝んでいるんですか?という問いに、「仏教です」と答えることに一応しているのだが…)
宗教や神学を否定するだけでは物事は解決しないが(心の問題であるので)科学を否定して正しい知識が得られるとは考えられない。私たち人類はすでにナチスの人類学者による恐ろしい人種理論によって、多くの人々を無惨にも殺戮するという過ちを犯しているのだ。あの間違った理論を、人々が受け入れた事実を忘れてはならない。
上手なプロパガンダが背景にあったとはいえ、ナチスはドイツ国民が「民主主義」によって選んだ政権なのだ。この重い事実をアメリカで「創造論」をふりかざす「民主主義者」は知るべきだ。誤った科学がもたらした大きな悲劇を。

なお、アメリカ人の名誉のために申し添えておきたい。
このばかげた「創造論を進化論と同じ時間教えなくてはならない」という法律が一部の州で成立していたそうだが、合衆国はこれを違憲として葬り去っている。極めて当然の措置である。宗教を信じるのは良いが、それを科学だと誤解して人に押しつけることは、明らかに過ちであるはずだ。

進化論を巡る、この危険な思想について詳しく解説されているページです。
進化論と創造論〜科学と疑似科学の違い〜
by Schweizer_Musik | 2005-11-09 21:32 | 日々の出来事
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