尾高忠明_武満徹管弦楽曲集(2)
武満徹晩年の管弦楽のための名作を尾高忠明指揮 BBCウェールズ・ナショナル管で聞く。どれも実に美しい作品ばかりで、何度聞いても飽きない。ア・ストリング・アラウンド・オータムはサイトウ・キネンの録音ではじめて聞いたものだが、あれもとても良い演奏だった。しかし、この録音もまたとても美しく、フィリップ・デュークスのソロも今井信子に勝るとも劣らない、素晴らしい出来だ。この人は一体どういう人なのだろう。まだまだ私の知らない素晴らしい演奏家はたくさんいるのだ!
尾高忠明という指揮者がこんなに良い演奏家だったというのにも、全く私の不明であったとしか言いようがない。何度か聞いているのに、あまり関心を払わずに今日まで来てしまった。
彼は、武満徹のドビュッシーにも似た繊細で蜘蛛の巣のように柔らかく、それでいてしっかりとした構築性を持つスコアを、ブレンドしすぎないので、それぞれの楽器の音色を明確に生かした演奏になっているのだ。バランスをとってまとめることはしないので、どのパートもよく聞こえ、目の前でさっと和えたような演奏と言えば良いのだろうか。
武満徹の作品は、私はどれも好きだが、この"A String Around Autumn"は特に好きな作品で、協奏曲らしい華やかさと輝くようなオーケストラによる、高揚するような気持ちになれる特別の音楽だ。
フルートのソロとオーケストラのためのウォーター・ドリーミング "I Hear the Water Dreaming" はア・ストリング・アラウンド・オータムの二年前の作品。フルートというと、フラッター・タンギングやポルタメントを使えば現代音楽風に気取れると思っている、馬鹿な若い作曲家に聞かせたいような音楽。誰もがもうやりつくした、そういう何番煎じになるのかわからないようなものを使わなくても、十分に説得力のある音楽が書けることの素晴らしい例証である。
シャロン・ベザリーのフルートは何度か聞いているが、この録音での演奏は大変良い。以前聞いたものではあまり感心しなかったのだが・・・。それでもポルタメントの前後での音程のふらつきはやや気になる。
ア・ウェイ・ア・ローン㈼は弦楽オーケストラのためであるが、見事!良い演奏だ。これ以上の演奏は難しいのではないか?そんなことを考えさせられるほどの見事さである。
小川典子のピアノで聞くリヴァランもしっかりとした演奏。これは良い。とても良い。原稿を書きながら一度、そして集中して一度、更にもう一度"A String Around Autumn"を聞いた。
by Schweizer_Musik | 2005-12-11 09:52 | ナクソスのHPで聞いた録音
<< 尾高忠明_武満徹管弦楽曲集(2) メニューインのシューマンとドヴ... >>