イサークのミサ曲を聞く
イサークのミサ・アポストリス(使徒のミサ)を聞く。タリス・スコラーズのGimell盤である。美しい。こんなに美しい音楽がこの世にあって良いのだろうか。ピーター・フィリップスの指揮するタリス・スコラーズはいつものように冴え渡った歌いぶりである。バロック音楽の出現で最も大きく変わったのは、拍子感だろう。何しろ古い音楽は拍子がない。いや無いのではなく、バロック以降の単純化された拍子ではあらわせないものであるのだ。言葉の韻律とそれは密接に結びついているように思われるが、私にはそこまで判断できるほどのラテン語の知識も、ドイツ語の知識もなく、ただ何となくという程度の話ではあるが。大体四拍子を基本にとっていけば、あまりはずれてはいないようだが、それでも今日のような強拍と弱拍にわかれた明確な拍子感はない。
このおかげで、フィナーレという楽譜作成ソフトでも、なかなかこの時代の音楽を表記するのは難しい。結局手書きが一番簡単という次第。拍子も小節線もないのだから・・・。
イサークは、ウィーンのマクシミリアンに仕えた宮廷音楽家としてゼンフルの師匠にあたるフランドル楽派の音楽家。「インスブルックよさようなら」という曲は比較的よく歌われるので、ご存知の方も多いのではないだろうか?
このGimellもナクソス・ミュージック・ライブラリーに参加している。何とも嬉しい話だ。ダウンロードして外でも聞くというわけにはいかないが(どうしてもそうしたいのなら、MDにでも録音して出かけるしかないだろう。しかし有り難い話だ。
by Schweizer_Musik | 2005-12-22 08:22 | ナクソスのHPで聞いた録音
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