バッハの管弦楽組曲全曲 *****(特薦)
バッハの管弦楽組曲を鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンで聞く。ピリオド楽器による演奏だが、そういうことがどうのではなく、雅やかで華やかで情感に富む、実に味わい深いバッハである。ポリフォニックなラインの絡みが実によく聞き取れる演奏で、リズミックな弾んだ部分とカンタービレの対比が実に美しい。
一昔前のピリオド楽器によるバロック時代の演奏というと、弦が刺激的できつい音がするというイメージで、私はあまり好きでなかった。教養ある人々がこのような汚い音を楽しんでいたなどとは到底思えなかったからだ。しかし、これが当時の音ですと言われて、そうじゃないというだけの論拠もなく、慣れるしかないのだろうかと思っていた。
確かにこのピリオド楽器風の演奏に大分慣れては来たが、次第に音がきれいになって来たとも言える。弦のピッチが低いのは当時の調律で演奏しているからだが、そういう問題以前に弦楽のピッチが揃っていなかったりしたことも多い。当時はピッチのずれたアンサンブルで良かったということなのかと、皮肉を言いたくなるような演奏は、現代楽器からの移行組に多かった現象なのだろうか?
ともかく、この方面にあまり詳しくないので、私は推測で書いているに過ぎないので、話半分にして読んで頂きたい。
しかし、古楽器演奏も第2、第3世代へと移り、昔日のようなことを感じさせるものは滅多になくなった。というより淘汰されたと言うべきだろう。古楽器と当時の調律法を用いれば作曲家の想像していた音が再現できるなどと馬鹿なことはないことに気付いたというより、古楽器をしっかりと学んだ優れた演奏家たちが増えてきたことによるのではないだろうか?
鈴木雅明の演奏はどれも気持ちの良い演奏ばかりだ。これなら現代楽器の演奏を捨て去っても私は全く困らない。第一番の終楽章のパスピエを今聞きながら、良い時代に生きているとつくづく思う。なるほど三拍子とはこんな風にとるのだと、聞きながら満ち足りた気持ち・・・。そんな思いにさせてくれる。

BIS-SACD-1431
by Schweizer_Musik | 2006-01-05 09:00 | CD試聴記
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