フルトヴェングラーの第7の所謂板おこしをYahoo!のオークションで購入。前から興味はあったのだが、どうも胡散臭い感じがしてやめていたのだが、つい出来心で購入したのはベートーヴェンの第7と第9だ。第7は1950年のEMI録音で第9は1951年のバイロイト祝祭である。
まず第7番から。実は第7は新星堂の企画物でオリジナルのSPから復刻されたものとEMIの正規盤を持っているのだが、新星堂のSPからの板おこし盤は、生々しい音は良いのだが針音がうるさくて聞きにくく、そのままになっている。EMIの正規盤は初期のCDから何種類か新しくリマスターしたと言っては買っていたが、どれも大差ないので、数年前に止めてしまった。 演奏はまぎれもなく素晴らしいのだが、オリジナルの原盤が失われてしまっているそうで、良い音で聞くことはできないと思っていたが、この録音は本当に素晴らしい。残響は少し少なくなっているそうだが、生々しい録音が聞けて私は大満足である。 第1楽章からウィーン・フィルの素晴らしいアンサンブルが繰り広げられる。テンポはあまり速くなく、落ち着いたものだがそれがとてつもない雄大な世界を作り出すのだ。フォルテシモでも音が崩れないのは嬉しい。またゴボゴボのお風呂の中のようなテープのノイズも無い!なんだこれは!! 興奮した。第2楽章の絶唱に近い気迫に満ちた演奏は、真似することは不可能!彼だけに許された世界だ。演奏について私ごときが今更言う必要はないだろう。重心の低い重さが弾む・・・そんな貴重な体験がこの演奏で出来る。これまで非道い録音でしか聞けなかったが、これからはこれで楽しむことができるのはありがたい!! バイロイトの第9は誰もが第1に推す名演だが、私はどうしてもこの演奏が気にくわなかった。どこがと言われてまず終楽章の合唱が風呂場のエコーがかかって何を言っているのかさっぱりわからんのが最も大きな問題であった。オケの分離も悪く、実は何が良いのかさっぱり・・・だった。 これは大きく改善されていると言えよう。初めて聞いた人達が皆こぞって感動したのも頷ける。なるほどである。合唱が不明瞭なのは仕方ないとしても風呂場ではなく教会程度には改善しているが、二重フーガのところでも歌詞がなんとかわかる程度になっているのは驚いた。ちゃんと録音されていたのだ。そして年を経るにつれて音像の焦点がずれて行ったのだ。 久しぶりに良い買い物をしたと思う。実は一緒にレミントンのティボーの演奏なども買ったのだが、これも良かった。
by Schweizer_Musik
| 2006-01-15 14:04
| 日々の出来事
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