モーツァルトのピアノ協奏曲をいくつか聞く。第14番と第15番、そして第27番と聞いて最後は26番「戴冠式」。
どうしてこの曲をと聞かれれば、好きな曲だからとしか言いようがない。演奏はゲザ・アンダの弾き振りでザルツブルク・モーツァルテウム音楽院管弦楽団との演奏。 完成度はどうも二の次にして、ゲザ・アンダがいかにモーツァルトを愛していたか、そしてそれを演奏する喜びがストレートに伝わってくるから私はこれが好きだ。テンポは走るし、時には表情過多にも陥るが、この演奏のストレートな思い入れは格段のものがある。 第14番のオケだけの提示部でも思い入れたっぷりの指揮であるが、オケが応え切れていないもどかしさが少しだけ残る。とは言え、音楽に反応しようという積極性が素晴らしい。 そして、ピアノが入ってくる。ピアノはようやく自分の出番とばかりにテンポがはっきりうわずっている。それを責めるのは簡単だ。しかし、演奏したらわかるのだが、モーツァルトの協奏曲のピアノ・パートは弾いていてとても気持ちいいのだ。あんな風にゲザ・アンダならずともなるのは理解できる。特に長い提示部で、オケが終わってようやく千両役者の登場とばかりにピアノが出てきた時のあの気持ちよさは一体なんなのだろう・・・。 私はオケをバックに弾いたわけではないが、とても気持ちが良かった。私のためにもう一度やってと言いたくなったものだ。 26番もヘブラーのものなども好きだし、もちろん内田光子さんの録音の素晴らしさなどもわすれてはならないのだが・・・やっぱりゲザ・アンダですねぇ・・・。刷り込みというのは恐ろしいもので。聞いていて、やはり心が浄められていくような気持ちになる。モーツァルト・イヤーで、やたらとモーツァルトが売れているそうだが、この録音も再評価されるのだろうか?
by Schweizer_Musik
| 2006-02-01 10:09
| CD試聴記
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