黛 敏郎/交響詩「立山」(1973) *** (注目)
黛敏郎氏の交響詩「立山」を聞く。タワー・レコードの企画であるが、良いシリーズで私はいくつか買ってあったのだが、なかなか聞く時間もないままになっていた。
「立山」はもともとが映像と連携しての音楽だっただけあって、あまり「現代音楽」らしい「難解さ」は避けている。オーケストレーションはフランス近代の例えばイベールの初期の作品などに近いものを感じさせるが、スペクタクルな内容で、私には派手なジョン・ウィリアムズなどよりもずっと好ましい。(ちなみに私は彼の分厚く音を重ねていく書き方はあまり好きでない。但しこれは個人的な趣味の問題であって、良い悪いの話ではない。)
黛のオーケストレーションはジョン・ウィリアムズなどよりももっと端的で効果的だと思う。楽器のそれぞれの響きを生かしたオーケストレーションだと思う。
モードを使った調性的な書き方が、師である伊福部昭の遺伝子を感じさせるところでもある。しかし大変に洗練されたスタイルの作品であり、リヒャルト・シュトラウスばりのオーケストレーションでスペクタクルでスケールの大きい表現が成されている。彼のアカデミー音楽賞候補となったハリウッド映画の「天地創造」の音楽を思い出されたい。
映像とのコラボレーションから出来ている音楽だけあって、音だけではちょっとつらいものもある。聞きやすい音楽でなかなかにスケールも大きく、もっと聞かれるべき音楽だとは思うが、音だけでは若干冗長に感じられなくもない。一言で言えば、繰り返しが多く、ゼクエンツを使いすぎているように思う。70年代の音楽としては若干異質というか違和感を感じるが、立山アルペンルートが全線開通した1971年に富山県から映画監督の松山善三と黛敏郎に委嘱された映像と音楽が一体となった作品として同年、富山市で初演されたものだそうで、1980年にこの録音がレコードでリリースされた時にはちょっと話題となったことを憶えている。私は大学を卒業する年だった。
第1部「大地」、第2部「祈り」、第3部「道」と題された30分あまりの大作であるが、これだけでCD一枚というのは、ちょっともったいない気もしないではない。
作曲者自身の指揮による東京交響楽団の演奏は大変立派なもので、作曲者の指揮の技術が卓越していたことがわかる。(と言ってもそれほど指揮が難しい曲でもなさそうなので・・・)
このCDはタワー・レコードのHPで買うことができる。まだ在庫があるようだ。とは言えこのCDがいつまでも売られているとは思えないので、欲しい人はお早めに・・・。

TOWER-RECORDS_TWCL-1025
by Schweizer_Musik | 2006-03-22 22:50 | CD試聴記
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