春にちなんだ音楽を聞いてみよう
世はすでに春だ。暖かくなってきた。杉花粉も終わりに近づいたようで、私も今日出かけてもそう反応しなかった。しかし、いつもは五月くらいまで続くので用心しなくては・・・。
夕刻、ちょっと買い物に出かけたが、近くの自動車教習所の桜が五分咲きといったところだった。岳父たちは花見に行ったそうだ。なかなか良い季節到来である。
女房は遅くなりそうだったので、回鍋肉を作った。豆板醤を入れすぎたのか、少し辛かったが家族にも好評であった。春キャベツはまだ高いので半分だけ使って作ったのだが、私としては近年稀に見る傑作となった(笑)。

バックスの交響曲「春の炎」という曲を聞く。1913年の作品ということなのでバックスの初期の作品ということが言えそうだ。地味で暗いというか、重い感じの作品が多いバックスだが、この「春の炎」は5楽章制で、各楽章にタイトルがある点で、連作交響詩のような作品となっている。7曲あるバックスの交響曲とは別に番号がつけられていないのもちょっと異端児ぼくて、私の好みに合っている。第1番の交響曲が書かれるのが、1922年だから、その十年近く前の若書きの作品と言えるのだが、それ故の勢いのようなものが作品にみなぎっているようで、これまた私の好みとなる。
更に、卓越したオーケストレーションも魅力だ。ハンドリーの指揮がもう少しデリカシーに富むものだったらと思うが・・・。(Chandos/CHAN 8464)
第1楽章が「夜明けの前の森林」と題され、鳥の声と弦の霧のような響きが印象に残る。続く第2楽章「夜明けと日の出」では、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」のような目も覚めるような才気はないが、グリーグのペール・ギュントの「朝」なんかよりもずっと雰囲気があると思うし、後半の次第に明るくなっていくところは素晴らしい!第3楽章は「日中」となるが、アタッカで続いて明るくなった世界で、春の息吹が爆発する。第2楽章から第3楽章にかけてのスペクタクルな表現は、バックスの見事なオーケストレーションの力によるものだ。
第4楽章の「ロマンス - 森林の愛」で、後のバックスの音楽様式がこの作品ですでに確立していたことを確認することができる。長いフレーズをたっぷり聞かせるそれは、フランス近代のドビュッシーなどの影響を強く受けて育っていったことを如実に物語っている。
だから、第5楽章の「マイナス・バッケー(酒神の供の女たち)」でのモードの使い方などでもそれを聞き取ることができる。
私の持っているCDはヴァーノン・ハンドリー指揮ロイヤル・フィルのもので、1987年頃に買ったもので、今もこの作品が聞けるのかは知らないが、機会があればぜひお勧めしたい。

もう一曲、大好きな作曲家であるプーランクの先生であったケックランの「春に駆ける」Op.95なんていうのも聞く。極めて多作であったケックランは、名教師として知られただけあって、ピッコロ、フルート、アルト・フルートと一曲で三種類のフルートを使う曲を書いていたり(明らかに説明のために書いたと思われる)して、私も彼の真似をしているに過ぎないのだが、そのケックランの「春に駆ける」は、バックスの作品の十年あまり後に発表された作品であるが、バックスの曲に偶然にせよちょっと似た構造を持っていて面白い。もちろんケックランの方がずっと現代的だが。
ディヴィッド・ジンマン指揮ベルリン放送交響楽団で聞いている。(RCA/BVCC-8861〜62)
もちろん廃盤なので、これは手に入りにくいかもしれないが・・・、バックスよりも聞くチャンスは多いだろう。

もう一曲。簡単に手に入る一曲をあげておこう。
ディーリアスの「小管弦楽のための2つの小品の第一曲「春はじめての郭公を聞いて」はいかがだろう。まさに今の季節にピッタリだと思う。弦が穏やかに漂う春の風のように流れ、その上に優しいメロディーがゆるやかに歌われる。
しかし、デリケートに歌おうとしすぎて音楽のエネルギーというか、生気のない演奏も多く、意外に満足のいく演奏が少ないのだが、私は古いバルビローリの演奏(TEICHIKU/25CT-3)をこよなく愛好している。CDは廃盤であるが、この演奏(1955年6月21日録音)の演奏は他からも出ていたはずだ。
しかし、この曲について書いたならば、もう一曲どうしても触れておきたくなった。それは
同じ作曲家の「北国のスケッチ 」という作品で、1913年に書かれた4楽章からなる大作で、その終楽章が「春の訪れ - 森の牧場と静かな荒野」とタイトルがつけられた、実に美しい音楽なのだ。私はチャールス・グローヴス指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(EMI/TOCE-6413)で聞いているが、LPでも持っていたもので、愛聴盤の一つでもある。
by Schweizer_Musik | 2006-03-25 21:01 | CD試聴記
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