間宮芳生作品集 井上道義指揮 *****(特薦)
間宮芳生の作品集を買った。二ヶ月待って、ようやくアマゾンから送って来た。昔レコードで持っていた合唱のためのコンポジションが4番だけだが入っていて、もの凄く嬉しかった。録音もライブながらなかなか良いし、演奏も大変美しい。この水準で児童合唱が聞けると、納得である。
小泉文夫氏のわらべうた研究から生み出された二十世紀屈指の名作だからだ。子供のわらべうただと馬鹿にすることなかれ!その感動の質はベラ・バルトークの一級の名作にも劣らない。わらべうたは生きている。そのことを痛感させられるが、90年代以降、完全に絶滅危惧種に入ってしまっている。何故か?子供達が空き地で缶蹴りしたりして遊ぶという環境が急速に失われていったことにある。危険だから・・・遊ばなくなったのか、パソコンでゲームをやるから・・・あるいは塾に行かなきゃ。
しかし、そういったアナログな子供の世界は急速に失われ、こうした音楽が生まれる環境は急速に失われつつあることだけは確実なようだ。私はフィールド・ワークでこうしたわらべうたの採取をしているわけではないので、ただの想像でしかないが。
しかし、この1963年に書かれたという合唱のためのコンポジション第4番のバイタリティあふれる「歌」に、ただひたすら感動する。オーケストレーションは完璧だし、井上道義指揮東京都交響楽団と東京放送児童合唱団の演奏も非の打ち所のない出来である。
あと、ピアノ協奏曲第2番と管弦楽のためのタブロー85が演奏されているが、岡田博美のピアノがあまり冴えないのはどうしてだかわからないが(これなら作曲者自身のピアノの方が良い。何しろ間宮芳生氏はピアノの名手だと思う)オケはなかなかの出来である。
間宮芳生は私の大学時代のアイドルであった。あのような作品を書くことがひとつの理想と思っていた。その彼の音楽に二十年以上を隔てて再び幸福な出会いを果たすことが出来た。素晴らしいことだ!!

日本の民族主義的な音楽は早坂文推や伊福部昭などの初期の段階から、間宮芳生で一つの頂点に達したと私は考えている。その作品がヴァイオリン協奏曲から合唱のためのコンポジション、そして2つのタブローなどである。1970年代に入り、1971年のソプラノのヴォカリーズとピアノ五重奏のために書かれたセレナーデや9人の奏者のための協奏曲などで、新しい民族主義的作風から前衛的な音の構築性へと関心は移っても、彼の音楽の軸は全くぶれていない。1974年だったから書かれた管弦楽のためのセレナードではドラム・セットやジャズのイデオムを取り入れながらも、独特の間宮ワールドを保っていた。
そんな彼の1970年代を代表するピアノ協奏曲での岡田氏のピアノは今ひとつの出来であるが、オケの素晴らしい出来に十分満足すべきだろう。80年代の管弦楽のためのタブロー(間宮芳生はこのタイトルで50年代に一曲、60年代にも一曲書いているので、都合3曲目のタブローということになる)は、1985年に書かれた作品で、このCDの中では最も新しいものであるが、オケの曲なのにかけ声が入る。バーンスタインのウェストサイドなどに例がないわけではないが、間宮芳生がやると祭りのような活気と楽しさがある。
これは、現代音楽に関心のあまりない人にも薦められる。この素晴らしい音楽を聞くことのできる最後のチャンスかもしれない。買っておかれることを強くお勧めしたい。

間宮芳生作品集_fontec_FOCD3306
by Schweizer_Musik | 2006-03-28 22:41 | CD試聴記
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