ドリア旋法というのは、モードで作る際、最もやりやすいものだと言えよう。だから、ポピュラー音楽でもこれはよく使われる。特に1960年代後半から70年代にはやたらと使われた。
「朝日のあたる家」という曲を例にあげよう。 こうした民謡におけるドリア旋法の使用で有名なのは、次の曲だろう。 1967年にアンドレ・ポップが作曲し、ポール・モーリアが録音した「恋はみずいろ」という曲は、このドリア旋法を冒頭に使っている。 ちなみに、ポップス・ナンバーでチェンバロ(ポール・モーリア自身が弾いていたと言われる)をフューチャーした音楽がヒットをするというのも、時代を感じさせるものである。バロック音楽ブームが起ころうとしていたという時代の話である。 もちろん70年代でドリア旋法がなくなったわけではない。数多くの作曲家たちが旋法を利用している。中でもアニメ映画やゲーム音楽に大量に使用例がある。次の曲を知らない人はおそらくいないだろう。 さて、こうやってまとめてみると、旋法に何か共通したどこかエキゾチックな性格が浮き上がってこないだろうか。この普通の調性で味わえない、エキゾチシズムがモードの特徴なのだ。ポピュラー音楽に使われる前に、19世紀に生まれた巨匠たちが、普通の調性に対して行き詰まっていた作曲者たちが使いまくったのも当然であろう。 ドビュッシーの夜想曲の第2曲「祭り」のテーマもまた、ドリア旋法ではじまる。 この3音をのぞいた5度の響きにのって聞こえてくる祭りの音楽が、ドリア旋法によっているのだが、19世紀最後の頃に書かれたこの作品から10年あまり経って、ドビュッシーは再びこのドリア旋法を使っている。 ギリギリまで切りつめた単純な和音だけでメロディーを支えるこの音楽は、ドビュッシーの到達した枯淡の境地を見事に表していると私は考える。「祭り」のエネルギッシュな世界とは対照的な静寂の世界である。 (この稿、更に続く)
by Schweizer_Musik
| 2006-05-28 18:28
| 授業のための覚え書き
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