山本直忠の日本幻想曲を聞く
山本直純氏の父山本直忠氏が作曲家だったことはよく知られているが、その作品は聞いたことが無かったが、ローム・ミュージック・ファンデーションのCDでやっと聞くことができた。1940年に書かれた(あるいは録音された)作品だから、現代的な何かを期待する方が無茶であるが、「さくらさくら」や「ねんねんころり」などのよく知られた我が国の俗謡が、ピアノ協奏曲に仕立てられているのは、ちょっと聞いていて笑ってしまったことを告白しなくてはならない。
いや、町田嘉章によって三味線協奏曲なんてものがまじめに作られていた時代の話である。現代の尺度で当時の音楽家たちの仕事を評価するのは誤りであることは言うまでもない。同時代の作品として渡辺浦人の交響組曲「野人」や大木正夫の交響組曲「五つのお話」などがあり、そうした作品などと同じ根を持つものとして評価するべきなのだ。
山本直忠などの成果の上に、外山雄三の「管弦楽のためのラプソディー」や小山清茂の「管弦楽のための木挽歌」などがあるのだ。
なんだか、ローム・ミュージック・ファンデーションのCDを聞いていると、日本の洋楽史の勉強をしている気分になる。良い仕事だ。こうしたCDが全国の図書館や研究施設に置かれて、広く聞かれることは慶賀すべきことだろう。
by Schweizer_Musik | 2006-06-12 11:35 | CD試聴記
<< 夢の名演奏 (10) 厳本真理のベートーヴェンのロマ... >>