マルケヴィッチのマーラーの交響曲第1番「巨人」を聞く
マルケヴィッチのことについて書いていて、マーラーの交響曲第1番「巨人」を聞く。ものすごく久しぶりに聞いたように思う。ブルーノ・ワルターなどのスタンダードな解釈とずいぶん違うところでものすごく粘ったり、逆にあっさりと流したりするので、とても面白かった。
「露しげき朝の野辺に」のメロディーがあっさり歌い始めて、こってり盛り上がる。ワルターならさりげなく始まるのだが、意外なほど歯切れが良い演奏なのに対して、マルケヴィッチは粘ろうとしているようだ。ただオケが言うことを聞かず、ちょっとテンポの焦点がが決まらない。で少し走ってしまう。走ってしまうので更に焦点が定まらず、第1楽章の序奏から提示部にかけて、今ひとつといったところ。
だんだん盛り上がってくるので、それほど悪い演奏とも言えないのだが、録音が1967年のものとしては、最上のものとは言えない点も考慮し、推薦できるほどではない。
第2楽章以下、多少焦点が定まってきた感もあるが、木管などのミスも多く、やっぱりフランスのオケだなぁと、ちょっと小馬鹿にしてやりたくなる。「おい、まじめに練習して来いよ」と…。「お前たち、こんなミスをして恥ずかしくないのか」とも…。
人間だからミスは仕方ないが、途中からやる気の無さ丸出しのアンサンブルで、これではマルケヴィッチも大変だっただろうな。アンサンブルを立て直そうと色々手を尽くしていることは私にもよくわかるが、演奏している当のフランス人たちにはわからなかったようだ。
いやいや、解釈などに聞くべきものが多々あるのだが、これでは駄目だ。

DISQUES MONTAGNE/WM 3321967年7月21日録音
by Schweizer_Musik | 2006-06-23 20:04 | CD試聴記
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