吉松隆の「虹のプリズム」を聞く
吉松隆の虹のプリズムを聞いていた。G音上のドリア旋法による、極めてシンプルな構造の作品で、聞くだけで(楽譜を調べないで)ある程度の推測が成り立つ作品は、現代音楽では珍しいことだが、吉松ならではのことかもしれない。
彼の初期の作品の中では、マイナーな作品であるが、不完全なライブ録音ながら十分に深いファンタジーが伝わってきて、これは授業で使いたいなぁと、漠然と考え始めていた。
素材がどうあるかが、問題なのではない。それを使って何を書くのかが問題なのだという、極めて当たり前のことを考えさせられている。
しかし不思議な編成である。二台のピアノがミニマル風に背景を作り出し、二本のチェロと一本のホルンがソロをとる。チェロは低音の役目をしたり高音の役目をしたりと、中々に幅広く使われている。冒頭のあたりでは、この響きが未消化に感じられたが、後半に至るとすっかり私も(おそらくは作曲者、演奏者も)この響きに慣れ、どっぷりと浸かってしまう。
岩崎淑女史が、1976年からやっていたシリーズのライブ録音で、1981年から日本人の作曲家に作品を委嘱し、新しい作品を各地で演奏している。その中からの演奏だということで、この録音は1983年のものだ。
癒しと覚醒の音楽とでもいうのだろうか?暑く湿度の高い部屋で、パソコンという熱を発するものに向かい続けている中、ちょうど良い心地にさせてくれた。

ミュージック・イン・スタイルⅠ 1981-1988_VICTOR_VICC-60113
by Schweizer_Musik | 2006-07-10 13:06 | CD試聴記
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