モントゥー_デッカ&フィリップス・レコーディングス1956-1964 レビュー -02
管弦楽組曲第2番の序曲から、実に素晴らしい響きで圧倒する。現代楽器で演奏した最上のバッハ像の一つと言っても良い。序曲の重心の低いバスの響きは、全く立派で説得力抜群だ。軽量級のバタバタ急ぎ足で走り去っていく古楽器の演奏と正反対である。どちらが良いとかいうのではない。考え方が違うからだ。しかし、この立派なバッハは、古楽器と古楽研究の発達とともに、聞かなくなっている。ロマン派的過剰な表情をそぎ落とした古楽器の演奏も素晴らしいものがあるが、これもまた良いと思う。
フルートがメインとなる部分では、少々心許ないところもある。特にクロード・モントゥーのテンポが安定せず、走ったり、停滞したりするのは困る。例えば、ポロネーズの中間部でのフルートのソロはかなり恣意的なテンポの揺らしがあるのだが、音楽的というより技術的な問題を感じさせてしまう。フレーズが終わる度にリタルダンドするとは、ちょっとやりすぎと思う。逆にオケが主体の部分のテンポの良さは素晴らしく、ブーレでの気持ちの良いテンポと響きは最高だ。これもフルートが入ってきて台無しになるのだが…。
モーツァルトで、私は指揮者に敬意を払うがソリストにはそんな気持ちはサラサラ持ち合わせていない。オケだけだったらどれだけ素晴らしい名演だっただろうか。フルートの入りからテンポが保てず、オケとの対話でもフラフラとテンポが揺れて不安定。音はまぁまぁ…。
1楽章を聞いて2楽章に入ったところで聞くのをやめてしまった。
ウィーン・フィルとの「時計」はなかなか良い演奏だが、細かく聞くと、後一歩、私のリファレンスであるライナーに及ばない。ウィーン・フィルは最高のアンサンブルを聴かせていないこともその原因の一つでもある。
第1楽章は序奏は素晴らしい出来であるが、主部は多少テンポがおそく、6/8の軽快さが損なわれている。その代わり気品のある歌い振りで、ライナーでは得られない美しさがここにはあるのだが。バランスと最上だが、この運動性がモントゥーのアキレス腱となることが晩年の演奏では意外に多いようだ。
第2楽章は速めのテンポでキビキビと進めていて、大変気持ちが良い。いわゆるタメが少なく、全体に軽量級なのだが、それが曲とピッタリくるのだ。ヴァイオリンとフルートのユニゾンがこんなに上品な響きだったのかと感心させられていると、対位法的な立体的展開が続く。左右両翼配置のヴァイオリンの効果がこの楽章では特に出ている。
第3楽章ではモントゥーは何もしていないのだが、こんな凛として清々しいメヌエットは少ないのではないか。但し、微妙なところでアンサンブルがアバウトになるところがあり、惜しい。実に惜しい!!
終楽章でもアンサンブルの乱れは聞かれる。クナッパーツブッシュの録音ほどひどくはないが、ウィーン・フィルよしっかりしろ!!でもなんとも気品があって、私はこのハイドンは結構好きだ。
by Schweizer_Musik | 2006-07-14 22:14 | CD試聴記
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