買ってから、今度聞こうと思いながら棚にしまって忘れてしまうということが、私の場合大変多い。ただの健忘症だと言われればそれまでだが。
この類のCDにモーツァルトが異様に多い。実家にあるCDの棚を見ていたら、こんなものがあったのかと驚きながら聞いて、聞き逃していたものがいかに多いかつくづく恥ずかしく思った。 今聞いているのは、ビーチャムが指揮したモーツァルトのシリーズの一つで、ハイフェッツがソロを担当したヴァイオリン協奏曲第4番である。(EMI/CDM 7 63820 2) 開いた口がふさがらないほどの名演。私はアルチュール・グリュミオーとデイヴィスのシリーズがあればもう他はいらないと思っていたから、このCDはただビーチャムのモーツァルトという興味で買ってそのままになっていた代物だった。他にもフルート、ハープが入っているのだが、こちらもチャーミングでユニークな名演!全く自分の不明を恥じるしかない。 まず、復刻状態がびっくりするほど良いこと!多少弦がチリチリするのを除けば1947年の録音というのが俄には信じられないほどだ。モノラルということを除けば最近のものだよと言っても信じる人がいるかも知れない。私などは最初に欺されそうだ。ハイフェッツのヴァイオリンが出てきた瞬間、もう駄目だ。心が吸い込まれてしまったみたいだ。こんな音、こんな演奏があるとは!! ビーチャムが変幻自在のハイフェッツにピタリとつける。ああ、昨今の古楽器の演奏家たちにぜひ聞いてもらいたいものだ。この艶やかさ、軽やかさ、響きの透明感、品格の高さ…、一体どこへ?最初から最後まで、ため息すらつかせない名演だ。こんな良い演奏があったなんて知らなかった。だれも教えてくれないのだもの…。 買ったのは今から15年以上前なので、入手困難かも知れない。どこかで再発されていたらいいのだが…。でも見かけたらモーツァルト・ファンならば絶対に「買い!」である。
by Schweizer_Musik
| 2006-08-10 22:18
| CD試聴記
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