今日の一曲 (28) デュリュフレの3つの舞曲
今日の一曲はデュリュフレの3つの舞曲。同じくわずかな作品しか残さなかったポール・デュカスの弟子らしく、デュリュフレもまたわずかに残された作品のいずれも傑作ばかりだと思う。(まだ作品1と作品12と作品13は聞いていない)しかし、生涯にわずか14曲しか残さないとは、自己批判の厳しさは大変なものなのだろう。
この寡作故にデュリュフレは過小評価され続けているが、オルガン奏者としてアメリカで人気があることもあり、彼のCDはそうした過小評価にさらされながらも比較的多く残されていることはありがたいことだと思う。
さて、この曲は1936年頃に書かれた作品で、作曲者34才の作品である。レクイエムがフォーレに似ていると言われることから(彼が自作に積極的にグレゴリオ聖歌の引用をしたことからにもよるが)フォーレの後継者と考えられているのかも知れないが、この曲など聞けばよりドビュッシーに近いということも理解されるのではないだろうか?
第一曲「ディヴェルティスマン」の冒頭など、ドビュッシーそのものではないか?はじめて聞いた時、ドビュッシーの曲だと思った。ドビュッシー作曲ノクチェルヌ第2番第3楽章「ジーク」なんてタイトルでもきっと信じたことだろう。
またモードの使い方などにラヴェルの「ダフニスとクロエ」あたりの手法も思い出されるところもある。ただこう書くと「なんだドビュッシーやラヴェルの亜流か」と誤解されそうでいやなのだが、デュリュフレの音楽には彼らの音楽が持つ色彩感、精緻さに加えてフォルム(形式)あるいは構成に対する厳しい鑑識眼が働いていると思われる。
これはポール・デュカスから受け継いだものかどうかはわからないが、どこかに共通するものを感じずにはいられない。ちなみにデュカスの形式に対する絶妙な感覚はこれまたわずかに残された彼の作品からもうかがい知ることができる。(デュカスは1920年代にその作品の多くを破棄してしまったこともあって残された作品は実に少ない)
第2曲の「ゆるやかな踊り」を聞くと、彼がただの亜流などではない独自の世界を持つ音楽家であったことがわかる。リズムの面白さ、ハーモニーの美しさ、ユニークなオーケストレーション、どこをとっても第一級の音楽だ。長いオーボエの主題が弦に出てくるあたりから後のクライマックスが、私は大変好きである。短くまとめられた再現からあとの寂しげな表情もなかなかにぐっとくる。
第3曲はタンブラン。実はこれが好きで好きで、この曲をとりあげたのだ。私の持っているジャン・フルネの指揮の録音は、第1、第2曲は申し分ないのだが、第3曲だけはもう少し血湧き肉躍る演奏が欲しかった。活力がちょっと足りないように思う。サックスの長いソロのエキゾチックな味わいと野性的な力強さのバランスと、完璧な形式感!ミュンシュが最上のコンディションでこの曲をボストン交響楽団あたりと録音をしていてくれたならと思う。(あればすぐに買いに走るぞ!!)
デュリュフレ作曲、3つの舞曲
by Schweizer_Musik | 2006-10-02 08:39 | 今日の一曲
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