ミヨーのヴァイオリン協奏曲第2番、凄い曲だ!
もう一つ、聞いたのが岩城宏之の指揮するメルボルン交響楽団とディーン・オールディングのヴァイオリンによるミヨーのヴァイオリン協奏曲第2番である。
ナクソス・ライブラリーはこういう録音もあるというところが奥の深いところである。オーストラリアのメルボルン交響楽団は結構良いオケなのだが、南半球のオーケストラというと、日本人からは格付けがずいぶん下がるらしい。変な話だ。
このオールディングというヴァイオリニストははじめて聞く名であるが、なかなか良いソリストだ。解釈はオーソドックスだし、技術は文句なしだ。これで音色に魅力があれば…。
このヴァイオリン協奏曲第2番は1946年に書かれた作品で、彼の明るく軽妙な音楽をイメージしていると徹底的に裏切られる結果となる。重く、暗い作品なのだ。岩城宏之は適度な重量感でこれを表現している。
第2楽章の幽冥の世界を彷徨うかと思わせる深く悲しげで孤独感にあふれた音楽は、もう凄いの一言である。岩城宏之の指揮もしっとりとした情感に濡れていて、音楽への共感に満ちている。
終楽章の動的な表現は、ショスタコーヴィチのようなアイロニーに満ちていないが、それでも屈折した感情を押し殺したような感触がユニークだ。見かけの明るさはプロヴァンス組曲などのミヨーからは想像もできないほど絶望的な悲しみを背景に書かれているように思われる。
第二次大戦に傷ついたミヨーの心が反映されたのだろうか。よくはわからない。しかし、とても重い何かがこの曲にはあるように思う。
by Schweizer_Musik | 2007-01-06 16:13 | ナクソスのHPで聞いた録音
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