ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第4番を聞く。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第4番を聞く。
短調のベートーヴェンだから深刻で重い音楽と思っていたら、何ともさわやかで良い感じ、そんな音楽である。これを昔、評論家の薦めにしたがってダヴィド・オイストラフとオボーリンのレコードを買って聞いたらなんともしょぼい音楽にしか聞こえなくて、「ベートーヴェンもこんなしょぼい曲を書くのか」と思った物だが、グリュミオーとハスキルの全集を聞いて目が覚める思いがして、それ以来お気に入りである。
オイストラフの録音はこの音楽をヴァイオリンのオブリガート付きのピアノ・ソナタという解釈で徹底している。それに右にピアノ、左にヴァイオリンという定位も聞きづらく感じられたし、オイストラフは普段の三分の一くらいの力で弾いているのではないか?オボーリンのピアノもなめらかで今ひとつアクセントが効かない感じでどうも焦点がぼけていて面白くないのだ。第2楽章のフーガ風の展開など、全く迫力がなく、まるで「美人のピンぼけ写真」である。きれいな方なのだろうが、ピントがぼけていては美しいかどうかわからない。
その点、グリュミオーは冒頭から勢いも力感もある。ハスキルのちょっと硬質な響きもピッタリとマッチしている。どう考えても別の曲だ。第2楽章も決してピンぼけにはならない。これは若いベートーヴェンの音楽なのだ。勢いもなければいけない。それは第2楽章とて同じなのだ。
私はもう一つ気に入っている演奏がパールマンとアシュケナージの録音である。ここに聞くアンサンブルは最上級のものである。この2つの名演で満足してしまい、私は以来この曲のCDを買うのを止めてしまっている。
さて、これを聞こうと思ったのはナクソス・ライブラリーにあった古いフリッツ・クライスラーの録音を聞いたからである。さすが歴史的名盤で、クライスラーはさすがらテクニックの衰えは隠しようもないが、チャーミングな演奏で、それなりに悪くないと思いながら聞いた。とは言え、買ってまで聞こうとは思わないが…。
by Schweizer_Musik | 2007-02-06 07:34 | CD試聴記
<< 山田耕筰の長唄交響曲「鶴亀」を聞いて いくつかのトッカータとフーガニ... >>