デイヴィス指揮ドレスデン・シュターツカペレの「ザ・グレイト」…名演です!
ヴァントの「ザ・グレイト」が良かったので、デイヴィスはまた今度と思っていたのだが、よしさんのコメントで聞いてみたくなった。ホントはこちらを先に聞こうと思っていたのだが…。
彼のシューベルトの交響曲全集を持っているので、良い演奏だとは思っていたが、ヘルベルト・ブロムシュテットが録音した頃のウィーン・フィルなどを上回る美しいサウンドのオケがどうなったのだろうと心配な面もあったりして、それがこの演奏に対する思いであった。
で、聞いてみた。
オケが良い。もの凄く良い。こんなに良いオケだと指揮者がよほどヘボで無い限り、結構楽しめるものであるが、さすがにデイヴィス、音楽の運びの良さで一気に聞かせてしまった。この曲を連日聞くなんて、昔、RCAゴールド・シリーズだったか廉価盤でシャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団の録音に心ときめかせた高校生の頃以来のことだ。
デイヴィスは決して極端なテンポをとらない。また不用意にテンポを動かすこともない。その歯切れ良さはヴァントのシューベルトとはまた違う個性を持っているが、こうした芸風ではオケがよほど良くないと平板な演奏になってしまうものであるが、このドレスデン・シュターツカペレのように超一流オケとの演奏であれば、その心配は全くない。
ただ、ミュンシュの録音のように鳴りっぷりという点では少々物足りない。しかしそれは無い物ねだりをするようなもので、デイヴィスもドレスデン・シュターツカペレも、そんなシューベルトをやろうとは微塵も考えていないようである。
第2楽章はAndante con motoである。ゆったりとしたテンポをとる人が多い中で、デイヴィスはちょっと速めだと思う。そしてそのテンポをほとんど動かさない。なのにそれぞれの場面に必要な情感がそこはかとなく湧き上がるのは、昔、ヘルベルト・ブロムシュテットの指揮で聞いたCDのままである。
第3楽章の気持ちの良いテンポとよく歌う各セクションの積極的な演奏はどうだ!昨日、ヴァントの演奏でも感心したのだが、この演奏はそれをはるかに上回っている。シューベルトが歌の人だということがよくわかる演奏だ。これを聞きながらちょっと目頭が…。どうしてこうも簡単に感動してしまうようになったのだろう!
トリオのちょっと寂しげな表情も、深い呼吸とフレーズを歌いあげる(それはタメを深くすることでより効果的となっている)ことで、より説得力を増している。名演だ!
終楽章も超がつく名演だ。この指揮者がこれほどの演奏をするまでになっていたとは!全く私は知らなかった。力強さとか、正確さは当たり前の事で、全体としてのスケール感は希有なものである。木管楽器のソロは美しくこのような演奏に接することができたドレスデンの人々が羨ましくてならない。
ヴァントの指揮するミュンヘン・フィルでわずかに感じた金管への不満も、ドレスデン・シュターツカペレの金管奏者に対しては全くない。というよりその音楽的な表現に驚嘆するばかりである。録音はアンビエンスを深く録った雰囲気のあるものとなっているが、細かな表現が聞き取りにくいところ(木管など)がある。しかし、それは大した問題ではない。これは3000円でも買う必要がある。永久保存にしなくては!今後、私のこの曲のリファレンスはこのデイヴィスの演奏にしようと思う。BMGから出ていた全集もこんな良い演奏だったのだろうか?ちょっと記憶にない。もう一度聞いてみなくては!
1996年7月1&2日ドレスデン、ゼンパーオーパーでのライブ録音だそうだ。
by Schweizer_Musik | 2007-03-01 11:14 | ナクソスのHPで聞いた録音
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