福島和夫のフルート作品
ナクソス・ミュージック・ライブラリーばかり徘徊していたが、学校で八村義夫のCDを二枚、それに福島和夫の楽譜を4冊をほど借りてきた。八村義夫のCDは室内楽と独奏曲が中心で、知ってる曲が多くあったのだが(もともと寡作家で作品が少ない上に夭逝してしまった…)彼岸花の幻想を高橋アキさんが演奏しているとかで、その布陣の魅力で借りてきてしまった。確か、レコード・アカデミー賞をとってのではなかっただろうか?
ロストロポーヴィッチの死という悲しい知らせで始まったゴールデン・ウィークであるが、結構充実した日々となりそうである。
福島和夫という作曲家・音楽学者は1930年に生まれた。作曲を正式に学んだという経歴はなく、独学で作曲を習得したとのことである。考えてみると武満徹などと同世代であり、実験工房で活動したというのも同じ…。不思議な縁を感じるたりもする。
福島和夫の作曲活動は1953年のヴァイオリン独奏のための「途絶えない詩」という曲なのだそうだが、私は聞いたことがない。1956年のフルートとピアノのたるのレクイエムが最初と長く思っていた。この曲の楽譜も借りてきたのだが、12音によっているようであるが、それ以上にそのリズムの東洋的な感性に貫かれた態度が印象的だ。楽譜を見ながら、かなり自由なセリーを扱っていることが確認できた。(楽譜を見る前からそんなことはわかっていたが…)
たった2ページの作品であるが、世界を震撼させた福島和夫ワールドがこの曲にもしっかり描かれている。
彼の代表作は何かと問われれば、「冥」と答えるにはやぶさかではないが、「エカーグラ」「中有」や「春讃」といった作品にも心ひかれる。それらは明らかに東洋思想をフルート一本に託した福島和夫ならではの世界観があるのだと思う。

「冥」の楽譜を眺めながら、色々と考えていたら、ふと1時間ほどが経っていてびっくりしてしまった。
作曲者のこの曲についての言葉…

弔笛(しのびぶえ)。笛の音は比世と彼世
         ふたつ世ながらに響くという。
「冥」      くらい。ふかい。遠い。
         とおざかる。黙して思う。
         宇宙的意識。

彼の名前を作曲の世界で聞かなくなって久しい。どうしたのかと思い、検索をかけたら1970年頃以降は作曲から離れ、音楽学の研究をしており、上野学園の教授となられていた。畑違い故に私は全く存じ上げなかったが、その福島和夫氏の作品をこのゴールデン・ウィークで勉強することに不思議な幸福感を得ている私である。
by Schweizer_Musik | 2007-04-28 10:15 | 日々の出来事
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