トヴェイトのピアノ協奏曲第5番
久石譲が書いた「天空の城ラピュタ」のロボット兵の音楽のような始まりで、にやにやして聞き始めたが、ピアノの名技性が求められる作品であるとは思うが、響きはとても新鮮で愉しく聞けた。
多作であったというトヴェイトの作品は1970年の自宅の火災で、未出版の作品の大半が消失してしまつた。このためピアノ協奏曲の第2番と第3番が失われてしまったし、バレエ音楽など数多くの作品が無くなってしまう。ピアノ協奏曲第3番は録音が残っているという話を前にどこかで読んだ記憶があるが、私は聞いたことがない。けれど、復元に多くの人たちが努力を重ねているようで、そうして管弦楽作品の「フリラール」などが聞くことができるようになったのだから感謝せねばならない。
ノルウェーの作曲家トヴェイトは、故郷のハルダンゲルで民謡をもとにその研究から創作活動を続けたと言われるが、この作品のように戦後の作品はそうした傾向が無いとは言えないが、よりインターナショナルな様式に向かっていたように思える。ちなみにピアノ協奏曲第5番は1954年の作である。
代表作と言われる「ハルダンゲルの100の民謡」もナクソスで聞くことができる。決して前衛的な音楽ではないが、こうした故郷の素朴な民謡を心から愛した作曲家を「田舎者」などと言って切り捨てるようなことは、なんとももったいないことだと思う。
話が逸れてしまった。もとに戻そう。
現代音楽というと、難解なものと思いこんでいる人も多いようだが、このトヴェイトの音楽にはそうしたものはない。おそらく誰もが親しめる音楽としてお薦めできると思う。後は好みなので何とも言えないが、この親しみやすさ、そしてトヴェイトらしさ(それほど知っているわけではないが、個性が厳としてあるということ)は、一度味わうと病み付きになるかも。私は特にこの第5番の協奏曲が好きだ。失われたという第2、第3も聞いてみたい気がするが、天に召された名曲?として想像して楽しむことにしよう。
by Schweizer_Musik | 2007-05-09 07:28 | ナクソスのHPで聞いた録音
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