スッペの「美しきガラテア」(注目盤です)
昨日は教え子のN君と横浜で飲んだ。一鶴という骨付鳥専門店で、中々に美味!四国丸亀が本店だそうだ。N君がCM制作会社のプロデューサー職に就いたことのお祝いだったので、久しぶりに散財、おごってあげた。まぁお祝いだから…。
というわけで、何年かぶりで横浜西口をウロウロする。ちょっと早めに着いたので、HMVに三年ぶりくらいで行って、物色するが、買いたいものがなくて困ってしまった。なら買わないで出てくればいいではないかと言われそうだが、ペンデレツキの自演集(EMI)とカルミナ・ブラーナのオルフ版と原曲なるものを合わせたブリリアント盤、それにシャンドス原盤のロジェストヴェンスキー指揮のボロディン交響曲全集とスッペの歌劇「美しきガラテア」を購入した。全部で7枚となるのだが、しめて4000円ほど…。安いなぁ。新譜じゃなかったので当然なのかも。
で、今朝はスッペの歌劇?「美しきガラテア」を聞いていた。意外なほど面白かった。とは言え、全部で40分弱で、台詞の部分は省略されているので、この作品をどれだけ楽しんだと言えるかどうか疑問だが、ドイツ語がわからない私には台詞があっても値打ちが全くないので、これで充分である。
指揮がアイヒホルン。カメラータに素晴らしいブルックナーの交響曲の録音があるが、彼は歌劇場の指揮者として名を成したのだったことを強く印象づけられた。
序曲から大変立派な演奏で、合唱もまずまず…。オペレッタ風情にはなかなか良い演奏だと思いながらやがてガニメートが歌い始める。やや曇った感じのアルトは、少し美感に欠ける。ミダスのアリエッタでのグルーバーは若干ウィナー・リート風の歌い回しが面白い。芸達者な歌だと思うが、あまり品が良いとは思わない。でもそれがオペレッタなのだから、かみつくようなところでもあるまい。
で、ピグマリオン役のルネ・コロが出てくると驚くわけだ。このテノールの余裕タップリの声の魅力!!この頃ではなかっただろうか?ルネ・コロがカラヤンに見いだされて一躍国際的な脚光を浴びたのは。その役柄はヘルデン・テノール。確かにその片鱗がうかがえる歌声で、他の役から一人飛び抜けている…。
だからオーロラの光の中にと合唱が歌った後に歌い始めるルネ・コロの歌の素晴らしさ!これは曲が大した出来でないにもかかわらず、声の威力で世紀の名曲に聞こえる希有な例だ。
そしてアンナ・モッフォが出てくる。悲しいほど声がない…。完全なミス・キャストだと思うのはいけないだろうか?このCDはモッフォが一番上に書かれ、どうもモッフォのアンソロジー・シリーズのようだが、昔、ストコと共演した一枚で聞いて以来のモッフォに今日もまた失望した。下手ではないが、声にほとんど魅力がない。姿は大変美しかったと、私のピアノの先生がおっしゃっていたのを思い出した。その後、歌がつまらなかったともおっしゃっていたっけ…。同感だ。二重唱でルネ・コロと歌うモッフォのみすぼらしいこと!(すみません、モッフォ・ファンの方には大変失礼な言い回しですが、個人的な感想ということでお許しを!)
この後も、モッフォの歌が奇跡的に持ち直すなどということはなく、ひたすらアイヒホルンの指揮とルネ・コロを聞くべき一枚と言える。とは言え、スッペの歌劇と言えば、昔、Willi Boskovskyが指揮した「ボッカチオ」ぐらいしか聞いたことのない私にとって、新しい出会いをもたらしてくれた一枚となったことも考慮して、注目盤としておこう。1365円という安さで、歌詞対訳もついている。やっぱり安い!

スッペ 歌劇「美しきガラテア」DENON/COCQ-84203
by Schweizer_Musik | 2007-05-14 09:46 | CD試聴記
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