ナクソスのティントナーの全集から第四番を聞く。ハース版と書かれている。オケはロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団でグラスゴーのオケである。
ティントナーは日本では晩年になってから注目されるようになったけれども、それはオーストラリアなど、どうも日本人がクラシック音楽なんてないと勘違いしている国で活躍していたこともあるようだ。 金管は少し粗い響きを出すこともあるが、総じて良いアンサンブルでなかなか聞かせる。ベームの名盤をはじめ、この曲にはたくさんの名盤がひしめいているが、私はレコード・アカデミー賞をとった(こんなことをよく憶えているな!)ベームやギュンター・ヴァントの演奏と共にルドルフ・ケンペの録音を特に好んで聞いている。 ティントナーは冒頭から大変落ち着いたテンポでスケール豊かに演奏している。ディナーミクの幅が大きいのだ。そのため実にブルックナーらしい響きになっている。これがブルックナー・ファンの心をくすぐるのだろう。私も大いにくすぐられた。第1楽章の第二主題など、もっとデリカシーが欲しいと思ったりもするが、一筆書きのような勢いと力強さはあるし、表情豊かな演奏でそんな不満はすぐに消えてしまう。 第2楽章のとてつもなく息の長いメロディーもまた表情豊かで、印象的だ。 この曲は私はラインスドルフの指揮で最初に親しんだ。ラインスドルフとボストン交響楽団のRCAの廉価盤は、良い演奏だった。今はあまり顧みられることのない指揮者だが…。ラインスドルフの演奏での、淡々とメロディーを歌わせ、そこにほのかな哀愁が漂う風情は、たまらなかった。 ティントナーの演奏の息の長さはさすがだ。この演奏はその点で特筆すべきだ。弦の響きにもっと魅力があれば、なんていうのは無い物ねだりでしかないとしても、魅力的であることは間違いない。 第3楽章のホルンの合奏からはロマンの雰囲気を十分に味わうことができる。ただフレーズの描き方がどうもこの楽章はちょっと粗くなっているようだ。紋切り型でオケの集中力の問題だろうか。こうした点は、ケンペやベームの演奏では聞かれない。また、意外かもしれないが、この楽章の演奏を聞きながら思い出したのだが、オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団のこの曲の演奏が、思いの外良かった。 終楽章もまた息の長いクレッシェンドが、いかにもブルックナー・ファンの心をくすぐる。残響のバランスもとても良いが、楽器間のバランスは微妙に崩れているところもあるが、気持ちが先行しているたろであろう。 NAXOS/8.554128
by Schweizer_Musik
| 2005-02-10 09:07
| CD試聴記
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