フルトヴェングラーのオネゲル
帰ってからパソコンを使って、ゴソゴソやっていたら猛烈な睡魔に襲われ、少し横になっていたら2時間あまり熟睡してしまった。かなり疲れが貯まっていたようで、仕事を今日はやめて音楽を聞いてみようとCDをとりだす。
オネゲルの交響的運動第3番をフルトヴェングラーが1953年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したライブ録音で、ドイツ・フルトヴェングラー協会の出しているCDである。協会盤はさすがに音は良い。
今日は第1番「機関車パシフィック231」の授業をしたこともあって、これをとりだした。ブラームスの交響曲第1番とグルックのアルチェステ序曲が一緒に入っているが、どれもそれなりの復刻でうれしい。(フルトヴェングラーを聞くというだけで変人と見なされかねないほどの酷い録音のものが多いからだが…)
この第3番は1933年頃の作品で、フルトヴェングラーに捧げられた作品である。正規録音が残っていないのは残念だが、この演奏が良い状態で残されたことは有難い!
近現代物におけるフルトヴェングラーは評価が大概低いように思われる。自身が作曲家でもあったため、フルトヴェングラーを小馬鹿にし続けるヒンデミットの作品も頻繁にとりあげ、ナチスに対しても擁護したことは有名な話である。
また、ストラヴィンスキーの新古典時代の作品も積極的にとりあげていたりするし、ドビュッシーやラヴェルも彼の演奏記録を見ていると結構出てくる。
ただ、演奏頻度はベートーヴェンやブラームスなどに比べれば少ないことは間違いなく、これらの人気のレパートリーを差し置いてもやる状況になかったというだけなのではないだろうか?
それにしてもこの情念の塊のような作品が、タイトルを持たないためか、人気が無いのはもったいないことだ。これを聞きながら、この冒頭の多調性の扱いなど、交響曲第5番の終楽章そのものではないかと思ったりした。1930年代初頭にはもう彼は後期の語法をものにしていたのだ。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の技量は素晴らしいものだ。フルトヴェングラーはこのスーパー・オーケストラを使って強烈な情念のぶつかりを描き出す。こんな演奏を聞かされると、第3番や第5番の交響曲を聞いてみたかったと思うのは私だけではないだろう。
by Schweizer_Musik | 2007-07-11 23:00 | CD試聴記
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