ホーネックの指揮したブルッフ(多分デビュー盤?)
ブルッフについてあれこれ考えるという、全く何の役に立つのやらわからない一日の終わりに、ナクソスのブルッフのところを色々と物色していてマンフレッド・ホーネックの指揮するブルッフの交響曲とロシア民謡組曲を発見した。録音はなんと1987年。へぇ、そんな前から指揮をしていたのかと思って聞き始めたのだが、ついでに彼の経歴を調べていて、この年にアバドのアシスタントとして指揮者への糸口を見つけたとあった。ということはこれはデビュー録音なのかもしれない。
そう思って、私と同い年のこの指揮者の演奏を聞いていた。実はブルッフの交響曲第3番は私のお気に入りの一曲なのだが、彼のヴァイオリン協奏曲第1番をあげるならともかく、あまり知られていない交響曲をあげるのは気が引けて、言ったことがない(笑)。ブルッフって何者というところから説明するのがちょっと…なので。
さて、今日はヒコックスの演奏で大いに楽しんだので、この若いホーネック氏がそれと比べてどうこうというのはちょっと気の毒に思ったのではあるが、それは残念ながら当たっていた。オケの響きがいかにも薄っぺらなのは明らかに指揮のちょっとしたタメが足りないためではないか。アンサンブルは大体整っているとはいえ、綻びも多く聞き通すにはちょっと厳しい。第1楽章の前半、ゆったりとした部分が緊張感を保てないのは仕方ないとしても、響きがいかにもささくれ立っている。ハンガリー国立交響楽団はもっと上手かったと思うのだが…。後半、Allegro molto vivaceに入ってからは今度は一本調子になってしまい、音楽の陰影が描ききれず終わってしまった。
今は中堅指揮者として知られる彼も、こんな演奏をしていた頃があったのだと思うとちょっと微笑ましい思いである。とは言え、今となっては消し去りたい過去?ではないかなぁ(笑)。
それでもロシア民謡組曲はこの演奏しかないわけで、ありがたい存在であることは事実。バラキレフが採譜した民謡集からの管弦楽編曲であるが、この類、ブルッフのパターンとなっている。オーケストレーションの達人というわけでもなく、まぁ上手い方かなという程度なので、大騒ぎするほどの曲ではないと思うけれど、私はこうした作品が好きなのだ。
by Schweizer_Musik | 2007-07-12 20:52 | ナクソスのHPで聞いた録音
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