ダヴォス音楽祭のライブ…なんとSONY-Classicalから
ダヴォスという所をご存知だろうか。スイス東部のオーストリアと接するあたりにある世界経済フォーラム(通称ダヴォス会議)が行われる所としても名高い町で、三千メートル級の山々に囲まれた山岳リゾートである。古くから栄えた町ではなく、呼吸器系の病気にここの澄んだ空気が良いと言われるようになり、20世紀はじめに建てられたサナトリウムを核に、観光地として発展を遂げた町で、トーマス・マンの「魔の山」の舞台としても名高い町である。
私たち音楽好きにとっては、今年の三月、惜しくも亡くなられたエルンスト・ヘフリガーが生まれた町としても記憶すべき町だ。
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ここはウィンター・リゾートとしてスキー、スノーボードなどのメッカで、大変長いゲレンデがいくつもある。だから、冬、ホテルをとるのは大変だ。
でもこういう町の夏は、意外と空いていて、ハイキングに来る人も目玉となる高山がないこともあって今ひとつのようで、オフ・シーズンをなんとかしようと夏にいくつかのイベントが行われるのだが、その一つがダヴォス音楽祭である。

若い音楽家の育成を目的として開催される音楽祭は、数年前までミヒャエル・ヘフリガー氏が音楽監督として活動していた。名前から察せられる通り、彼はエルンスト・ヘフリガーの息子で、ヴァイオリニストとして活動した後、プロデューサーとして活動をしている。
現在は、ルツェルン音楽祭の総裁として、ブーレーズやアバドをとりまとめている。
この音楽祭のCDを今回、購入した。二枚組で、ソニー・クラシカルから出ているものだったのにはちょっと驚いた。
1990年代半ばの音楽祭ライブで、竹澤恭子さんの名前もあったりして、中々面白いものだった。特に心奪われたのはグィド・シーフェン(ARTE-NOVAから何枚かCDが出ている)のチェロで聞くリヒャルト・シュトラウスのチェロ・ソナタだった。イリーナ・ニキティナというピアニストが共演しているが、ピアノはまずまず。チェロは最高。そんな演奏だった。
プロコフィエフの「ヘブライの主題による序曲」が入っているのも嬉しかった。あまり演奏されないけれど、私好みの室内楽で、しかもとても良い演奏なのだ。
フルートのマリナ・ピッチニーニはあまり気に入らなかった。特にモーツァルトのフルート四重奏は録音のせいもあるのだろうが、音もかすれがちで美感に欠ける。
他にはプーランクのピアノ,オーボエとバスーンの為の三重奏曲がとても良かった。歯切れの良いテンポ、パンチの効いたアクセント、ディアナ・ドヘルティ(ob), ステファン・プーリ(fg), デネス・ヴァルヨン(pf)という3人によるものだが、一人も知った名前でなかったけれど、充分に楽しめた。
まだバークシャーで手に入るのではないだろうか?よろしければ…。写真は2005年の冬にダヴォスに行った時の写真。

SONY-Classical/S2K 68555
by Schweizer_Musik | 2007-07-22 10:45 | CD試聴記
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