涼を求めて (7) ヴィクルンドの「夏の夜と夜明け」
ヴィクルンドが1918年に作曲した交響詩「夏の夜と夜明け」Op.19を聞いて涼んでみようか。白夜の国の夜のこんなに静寂に包まれていて、優しい風が吹いているのだ。なんと羨ましいことだろう。暑く湿度の高い部屋にいると、そんな夏の日の朝に心から憧れてしまう。
北欧の印象主義とも評される彼の音楽は、演奏活動に忙しかったこともあり、あまり多くない。しかし、この交響詩「夏の夜と夜明け」はその中でも代表作として名高いもので、静かな夜の静寂をじっくりと描いた後、次第に管弦楽の拡がりのある響きがあたりが少しずつ明るく、そして少しずつ賑やかさを増していく後半は、ラヴェルの「ダフニス…」の第2組曲のように天才のおこした奇跡と比べるのはどうかと思うが、グリーグのペール・ギュント以上に成功していると思う。
名匠パヌラの指揮するエーテボリ交響楽団の演奏(1981年)がスウェーデンのカプリース・レーベルにあり、これはナクソス・ミュージック・ライブラリーで公開されているので、会員の方は是非聞いてみられることをお薦めしたい。
多少、冗長に感じられるもその冗長さ加減が、いかにも北欧という印象である。スウェーデンの王国としての品格を感じさせる作品というのは、ちょっと持ち上げすぎ?
でも涼しげでなかなかいい感じである。
by Schweizer_Musik | 2007-07-26 17:45 | ナクソスのHPで聞いた録音
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