コレギウム・アウレウム合奏団のモーツァルト その2(交響曲第36番)
木管楽器はかなりひなびた響きで、現代楽器になれた私の耳には若干抵抗がある。しかし、弦の美しさには参ってしまった。堂々とした序奏から、活気あふれる主部に移り、音楽に合わせて微妙にテンポを動かしているが、コンマスのマイヤーが優秀なのだろう。昔はマイヤーを指揮者としてクレジットしていたこともあったように、おぼろげながら記憶している。
流麗さよりも、アクセントをつけてキビキビと運ぶ第1楽章は、活気ある演奏で大変魅力的だったが、第2楽章に移り、弦楽による主題が出てくると、そのカンタービレと響きの美しさにドキドキしてしまった。
私のこの曲のファースト・チョイスは、ブルーノ・ワルターのモノラル時代のコロンビア交響楽団との録音なのだが、これからコレギウム・アウレウム合奏団に乗り換えなくてはと思った。
1980年6月ドイツ、キルヒハイム城糸杉の間での録音だそうだが、最後の時期のこの合奏団の高みに今までどうして気づかなかったのだろう!!
第3楽章のメヌエットは、弦のアクセントが微妙に音符の真ん中に来るため、一つ一つがふっくらとしてとても良い感じである。これが自然な弾みをつけて、メヌエットをふっくらとした上品な音楽に仕上げている。トリオでのオーボエ・ソロはテンポを思い切って落として情感豊かに歌い上げる。ファゴットとのカノンも品があって美しい。
終楽章の速すぎることなく、それでいて十分な活気をもって大いに盛り上がる。ちょっと品が良すぎて、もっとキビキビとしてもいいのにと思うところもなきにしもあらずだが、この弦の美しさと、微妙に膨らむアクセントのおかげでいつの間にか引き込まれてしまう。
これは見つけたら絶対に買うべきだ。お薦め!!こんなに魅力的な「リンツ」を私は今まで聞き逃してきたことが恥ずかしい!!

素顔のモーツァルト/BMG/BVCD-9007〜9(番号は当時のもの。今は新しく出ていると思われるのでご注意を)
by Schweizer_Musik | 2005-02-14 07:09 | CD試聴記
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