横浜混声合唱団による須賀田磯太郎の演奏を聞いてきた
今日は横浜混声合唱団によるコンサートで須賀田磯太郎の作品の演奏があるということで出かけた。
1934年作のアヴェ・マリアは合唱団のピッチが不安定でちょっとヒヤヒヤしたが、「曼珠沙華」でやや持ち直しホッとした。
したがってアヴェ・マリアは今ひとつの印象となってしまったけれど、2曲目の「曼珠沙華」以降は実に面白かった。
北原白秋のこの詩には、あの山田耕筰の名作がある。1911年に山田耕筰によって書かれたこの作品は、初期の傑作として名高いが、須賀田磯太郎の作品はそれ以後の作品ということになる。
さてその出来はというと山田耕筰の鋭角的なリズムが生み出す迫力からすると、より冷静に、ちょっと離れてその少しグロテスクとも言える世界を描いている。
山田耕筰の強烈な詩の世界への踏み込みを聞いた後では、少し踏み込みが足りないように感じなくもないが、それは異なる表現を須賀田磯太郎氏が目指した結果だと思う。
続く「お母さま」という1948年の作品は、佐野に住んでいた頃の曲で、比較的平易な語法で優しい世界を心ゆくまで描いている。
これらも気に入ったのだが、私は続いて歌われた「ふくろ」(1951作)に心奪われた。モードをさりげなく使って、平易な歌い回しの中に、絶妙なエキゾチシズムを配しており、傑作である。
1950年のNHK「みんなのうた」で発表された「ご飯の歌」は深尾須磨子の詩につけたユーモラスな歌で、とても楽しく聞けた。横浜混声合唱団のちょっとした演出も気が利いたものであった。
合唱団も懸命に取り組んでいたが、音楽が今ひとつ練れていないところもあり、今後一層の努力に期待したいと思うが、こうした意欲的なプロクラムに取り組んでおられることは高く評価したいと思う。

yurikamomeさんとご一緒し、須賀田磯太郎氏の姪御さんにある黒澤さんにご挨拶させていただく。
今日の演奏を聞いて、須賀田磯太郎の作品をさらに多くの人々に聞いてもらいたいし、演奏されるように色々と働きかけていきたいという思いを更に強くした。
興味をお持ちの方は、ナクソス・ミュージック・ライブラリーにあるので、聞いて頂きたいものである。
by Schweizer_Musik | 2007-11-18 20:32 | 日々の出来事
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