イブはさすがにこの歳ともなると静かに過ぎていくようになった(笑)。今朝のテレビであちこちの混雑ぶりをやっていたが、年末の感強くする出来事でもある。
日本国中がキリスト教徒になったみたいで、どうも変な感じだが、四月八日もお祝いすればいいのに…(誰の誕生日か知っている?)。 下らない話はこの位にして、年末になると聞きたくなるのは第9でもメサイアでもリングでもなく、私はシュトラウスのワルツ。 お正月のニューイヤーが大好きで、そのせいで私の年末年始の音楽となっている。 思えば、もう20年近く前のこと、カラヤンが一度だけウィーン・フィルのニューイヤーの舞台に立ったことがあった。 長い歴史の中でもあれほど素晴らしいコンサートはなかった…。あの時のビデオを見返してうっとりとなることもある。何が羨ましいと言って、あの日のウィーンでこのコンサートを実際に見た(聞いた)人だろう。 カルロス・クライバーの二回(特に第1回目!)も強烈な感動をもたらした。いや、シュトラウスの音楽でこんなにうっとりさせられるとは…。 ブラームスをはじめ19世紀の大音楽家たちがこぞって夢中になったこともなるほどと納得させられてしまう。 さて、カラヤンのシュトラウスはグラモフォンに1980年に録音した三枚のディスクがまずあげられる。本当にそれまで後生大事に持っていたシュトラウスのレコードを全て捨てても良いと思わせるほど(もちろん捨てるような愚かなことはしなかったが)その演奏は素晴らしかった。 確か1960年代にもカラヤンはシュトラウスを一枚ベルリン・フィルを指揮して録音していた。それも良かったけれど、この1980年の三枚は特別だった。 さて今日はそれではない。1950年代に天下の名プロデューサー、ウォルター・レッグが作ったフィルハーモニア管弦楽団を指揮して録音したシュトラウス集である。 レッグがプロデュースしたこの録音は1955年の録音でステレオではないけれど、さすが録音にうるさかったカラヤンだけあって、今聞いても最高の音質でなかなか素晴らしいものがある。 EMIからも復刻されているこの録音がナクソスにあるのだ。よくわからないけれど権利関係の問題からなのか、この録音は9.80000番台の番号で、CDは売られていないようである。(ちなみにナクソスのヒストリカルも欧米では売られていないようだ。検索をかけても引っかかってこない…) まぁ、アメリカのディズニー法案のおかげなのだろう。その結果聞くことができず、死蔵されてしまう録音が多いということは、芸術文化の発展にとって実に残念なことである。(このことについて書き始めるとまた興奮してしまうので、止める) しかし、この録音には1980年代のカラヤンに無いものがある。磨き上げられたベルリン・フィルの豪華でどこまでも輝き続けるサウンドと、うっとりさせる絶妙のテンポはこのフィルハーモニア盤にもある。何と言っても当時のフィルハーモニア管の凄さはとんでもないものであった。 ロンドンにいきなりスーパー楽団が出現したと言ってもいいだろう。レッグ・プロデューサーの耳は確かだった。彼がかき集めてきた演奏家たちは若く、そして超がつくほど一流のオケ・マンたちであった。 そしてそれを取り仕切ったのが若き日のカラヤンだった。 「美しき青きドナウ」を聞いてみられたらよい。カラヤンが1955年の時点でいかに凄い指揮者だったかわかる。いや、この「美しき青きドナウ」を聞いてそれがわかるほど凄い指揮者だったのだ。 そしてこの推進力!生命力に満ちあふれたこの演奏の魅力は、若いヘルベルト・フォン・カラヤンの音楽の特徴だ。それを1980年代のカラヤンに求めるのは酷だろう。 しかしここには、後年のカラヤンからは求められない覇気がある。 若いカップルたちが昨日の夜、きっと謳歌した若さを羨ましく思いながら、今日はこの若い日のカラヤンのシュトラウスを聞いていた。
by Schweizer_Musik
| 2007-12-25 08:37
| ナクソスのHPで聞いた録音
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