川井綾子さんの室内楽コンサートを聞いてきた
昨日の夜は、みなとみらいでコンサートを聞いてきた。
川井綾子さんというピアニストによる室内楽シリーズVol.1「ロマンチック紀行 in Germany」という企画で、板倉康明氏のクラリネット、渡部玄一氏のチェロによる、ベートーヴェンの「街の歌」とブラームスのクラリネット三重奏曲にそれぞれのソリストとのデュオでシューベルトのアルペンジョーネ・ソナタとシューマンの幻想小曲集Op.73が演奏された。
良いピアノだったし、室内楽としての呼吸というか、間合いも良いものだった。川井さんの室内楽奏者としてのセンスの良さは大した物だと感心した。
二人のソリストについても、さすがにベテランと感心させ、安心して音楽に聴き入ることのできる、実にに良い演奏をしていた。
惜しむらくは、クラリネットの音がもう少し芯のある音色であれば、ピアノに対して痩せた感じがしなかっただろうに、もったいないなぁと思ったことと、チェロの音色にもう少し伸びが欲しいと思った。特に三重奏になるとチェロは引っ込んでしまうのは、ちと厳しいなぁと思った。
難曲であるアルペンジョーネ・ソナタは高音域での細かな動きに時々チラリと危ないところもあったけれど、安定度抜群のテクニックでねじ伏せ、シューベルト独特の情感をよく表現していて堪能した。
この2曲のデュオは比較的よく聞くものなのだけれど、ベートーヴェンとブラームスのトリオは意外に実演で聞く機会の少ない名曲で、よくぞとりあげて下さいましたと言いたいところ。特にこのブログで以前にとりあげたことのある、ブラームスのトリオは絶品の曲で、これが生で、そしてかなり優れた演奏で聞けたことは素直に喜ばなくてはならないと思う。
私は特に3楽章が好きなのだけれど、その情感あふれる演奏にはただただ拍手であった。ピアノも素敵だった。
この日に演奏会は、アンコールをやらなければ完璧だった。それもエルガーの「愛のあいさつ」である。下手なアレンジで、あんなものをブラームスの後でやるなんて、ちょっと信じられない。
気の利いたアレンジであればまだしも、学生がやるような編曲では…トホホである。
そしてあのブラームスの後なのだ…。
昨年、最も感動したシュナイトのリヒャルト・シュトラウスの最後の4つの歌と「死と変容」の後に、「軽騎兵」序曲をやるようなものだ。あのコンサートでシュナイト氏はそんな愚かなことはもちろんしなかったけれど、昨日はそれがあった…。
アンコールはない方が良いときもあるのだ。そのことを、改めて痛感したコンサートだった。
会場はみなとみらいの小ホール。8割ほどの入りで満杯に感じた。いつもご一緒しているyurikamomeさんと一緒に聞き、終了後、いつもの飲み屋で一杯頂いて帰った。アンコールの他は良かったので、気分直しであったけれど、yurikamomeさんと楽しく話していてそれは多いに報われた。いつもありがとうございます!!
一眠りして今起きて仕事にかかるところ…。
by Schweizer_Musik | 2008-01-12 04:25 | 日々の出来事
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