yurikamomeさんに紹介させて頂いたミークのフルート・ソナタを久しぶりに聞いている。
美しいとかそういう前に、なんともニヒルな抒情にはまると、ミークは大作曲家になってしまうし、そうでないとただの保守的な遅れてきた新古典主義の作曲家に過ぎない。このあたりが理解されにくいところなのではないだろうか。 春の味と言えば、菜の花、蕗の薹、土筆などを思い出す。それに私の大好きな木の芽和えや、ウドのきんぴら…。タケノコ料理なども春の味。 で共通するのはこうしたちょっと苦みというか、くせのある味わいが春らしさだと私は思うのだが、それに共通するようなところがミークの音楽にはある。 フルート・ソナタは1963年の作品で、勢いよくフルートが歌いピアノが合いの手を挟んでいくあたり、いかにもミークらしいひねりの効いたサウンドであり、合いの手のはさみ方もイレギュラーなリズムの取り方に、作曲者の工夫が感じられる。 また、同じメロディーがフルートとピアノが絡みながらポリフォニックに展開していく展開部で、多調性的な処理が耳をくすぐるかと思えば、機能和声的にテーマを歌い上げてみせるというように、とても技巧的な工夫が施されている。 それが無軌道な不協和音程ではなく、極めて良く調和した響きの中で起こるのがミークの特徴と言えるだろう。 第2楽章など、演奏者のトーマス・シュトレッセル(fl)と クリスティアン・ザウク(pf)の丁寧な演奏であるにも関わらず、もっと表現で踏み込んでくれれば…と思わずにはいられないところもある。クライマックスへの持って行き方が今ひとつ平板なのだ。 しかし、終楽章のリズミックな処理など丁寧さ故に、信頼して聞ける良さにもつながる。何しろこれ以外に聞いたことがない曲だけに、こうした丁寧さは重要なポイントである。 でも楽しむにはもっとアクセントをしっかりとつけて、強弱のメリハリをはっきりさせて行かなくては…。 演奏に若干の注文はあるのだけれど、やはりこのミークのフルート・ソナタは面白い。もっと良い演奏も可能なはずだ。だれかやらないかな…。でもそれならば僕の曲をやってほしいなぁ…。 そうだ、今書きかけているアイデアはフルートにピッタリなのだ。時間がとれそうなので久しぶりにフルートの曲でも書いてみるか…。 日本では手に入りにくいのだが、MUSIQUES SUISSESのホームページから注文できる。スイス・フランは今とんでもないレートで、ちょっと買うのには勇気がいるけれど…。 近代スイスのフルート音楽_MGB/CD 6222
by Schweizer_Musik
| 2008-03-11 18:27
| 春はあけぼの…音楽を楽しもう
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