春はあけぼの…音楽を聞こう -29. 別宮貞雄の交響曲第3番「春」
c0042908_2150146.jpg1984年に書かれた作品。ちょっとここまで古典的な様式でやるのかと驚かされるが、ちょっとした映画音楽風で、ほのぼのしていて、それがいかにも「春」らしい。
私の持っているディスクは若杉弘氏の指揮する東京都交響楽団による1993年の録音である。
各楽章にタイトルというか標題があり、極めて伝統的なロマン主義による標題交響曲である点が特徴だろう。
第1楽章は「春の訪れ」(あっという間に春はやってくる)というタイトルがつけられていて、ちょっとアルペン・ホルン風の出だしが、シュトラウスの楽曲を思い出させたりする。
第2楽章は「花咲き、蝶は舞い……」(そして鳥がさえずる。深い山の中の自然の美しさ)というタイトルが示すように、音楽は更にシュトラウスばりの描写性に傾くこととなる。そして、最後の第3楽章では「人は踊る」(人々は浮かれ出す)というタイトルが示すようにリズミックな楽章となる。
しかし、ここまで古典的な和声に固執したのはどうしてなのだろう?その数年前に書き上げた交響曲第2番ですら、もっと近代的なハーモニーをベースにしていたのに、せいぜいシューマン程度の和声に戻った別宮貞雄のこの作品に、実は戸惑っているというのが、私の正直な感想である。
この後に書かれた「1945年夏」をテーマにした作品ではもっと表現主義的なのに…(まぁそうならざるを得ないというのも事実ではあるが)。
しかし、近現代の「難解な音楽」という印象をこの作品から抱く人はいないだろう。
演奏は、若杉らしからぬピッチの乱れがあったりして、少々不満である。とは言え、我が国の作曲界の重鎮の作品である。心して聞こうではないか!
写真は今日の昼、久しぶりに家族みんなで近くのレストランで食事をした帰り、腹ごなしに一人で散歩していた時に見つけた若葉の写真である。
目に青葉…、あっそうだ、明日は鰹を食べよう!
by Schweizer_Musik | 2008-04-06 21:20 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
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